if...薬物乱用撲滅キャンペーン
もはやこれに勝てるバラードなど邦楽界にはないだろう。
だがこの曲は2004年に採録されており、そちらのほうが歌詞、演奏ともに進化しているので入手困難だとは思うがぜひ手にしてほしい。本当にいくら出しても満足できるから。
オカルトロマンスというコンセプトが垣間見れるすばらしい楽曲。
少し悲壮感漂う歌詞にジュイの綺麗な声が重なり、なんとも言えない空間を作り出している。
狂人日記 (講談社文芸文庫)
佳人薄命、とはまことによく言ったもの。
このことば、容姿の美しさに限らず、魂の美しさについてもまた然り。
eureka!
ある種の向こう側を知ってしまった者は、その知の代償として自らの命を差し出さねば
ならない。神を相手に己を賭した、あまりに過酷な取り引き。それでもなお、その知の憧憬に
憑かれた者は嬉々として命を差し出す。
燃え尽きることを希う、あまりに儚い自殺志願者、それこそが芸術家の芸術家たる所以、
狂人の狂人たる所以。
享年61、薄命と呼ぶにはあまりに長い生涯だ。
とはいえ、色川がこの小説と命を引き換えにした、と語ったとして、誰がその説得力を疑う
ことがあろうか。
『狂人日記』といえばまずはゴーゴリ、しかし、色川のそれは完成度、深みにおいてかの
ウクライナの巨星すら凌駕する。
とある飾職人の、内攻をめぐる壮絶な記録。寄り添う女がいる。拭えぬ過去の記憶がある。
すべてが辛い。どこか硬質な文体、突き破れぬ薄皮一枚が孤独また孤独の反復を招き、狂気に
至り、最後は死へと向かう。
ラストシーン、幻視の中、幻聴の中、世界を遠のく姿、己を遠のく姿は迫真。
日本文学、否、世界文学の金字塔。