食べて、祈って、恋をして ダブル・フィーチャーズ・エディション [DVD]
離婚で深く傷ついたアメリカ人の30代女性が、イタリア、インド、インドネシアへ旅行し、自分を取り戻す話です。
原作は作者の心の動きが細かく描かれている本であるため、映画という視覚的な表現方法では、内容を表し切るには限界があり、
見る人によってはストーリーが浅いものに感じるかもしれません。
でも、原作を読むと、作者がいかに洞察力に優れ、複雑な人の心を描いているかが分かります。
同世代の世界中の女性が共感できる内容だと思います。
現に、主人公を演じたジュリア・ロバーツも、映画に出ることが決まる前にこの本を読んで気に入り、
友人に勧めたという記事を読んだことがあります。
ということで、この映画がいまいちと感じた人も、原作本はぜひ、読んでほしいです。
この映画自体も、イタリア、インド、インドネシアの美しい景色、
そして何よりもジュリア・ロバーツの変わらぬ美しさを見るだけでも、
見る価値はあると思います。
ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
逃亡者とそれを追いかける殺人犯。殺人犯を追いかける保安官と登場人物は主に3人。
逃亡者と殺人犯の緊張感溢れるチェイスで話は進みつつ、ハビエル・バルデム扮する殺人鬼の理不尽な殺人がいつしか物語の焦点となる。
殺人犯はボンベ付きスタンガンで、ドアノブや人間を撃ち抜く。コインの表と裏を賭けさせ、外すと殺す。そこには理由もなく、何も罪のない人間が殺されていく。
殺人犯の背景が全く描かれてないため、何のために人を殺すのかが最後まで分からない。だけど、それは降って湧いたように突然訪れる「死」に対する象徴のように描かれる。
「死」とはそういうものだ、と。
トミー・リー・ジョーンズ扮する保安官の長い台詞は、死は理不尽に突然現れることを暗示するように語られる。そして突然映画も終わる。
観客自身に結論を促すためか、いろんな場面で結末は見せない。だからいろいろと疑問は残る。
いまさら原作本を読んでみようと思う。
しかし、こんな映画がアカデミー賞を獲るとは驚きだ。この映画は非常に質の高い映画だが、昨今のハリウッド映画全体のレベルが下がっているからこの映画が選ばれたとしか考えられない。
この監督の映画ならば『FARGO』が獲るにふさわしい。
ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
オスカーでもやたら話題になっていたジョエルとイーサン作。批評家連中がやたらとバルデムを称賛しまくっていたので、ちょっと見てやろうかと思っていたが、レンタルでたまたま目にするまでは忘れてた。
ストーリーを説明するのは簡単だが、それを理解するのはかなり難しい。なにせ、本編を見ても全体の構成を頭で整理する必要が…ない。そう、これはバルデムを見る映画だったのだ。だからそういってるんだけど、という突っ込みはさておき、バルデム(あえて役名ではなく)の存在感ったらない。風貌や立ち振る舞いはともかく、サイコパスとして人を殺すことに自分のアイデンティティを見つけているのではなく、自身の思考と行動が主としての絶対的なエゴそこがスゴイ。コインで人の人生を決め、怪我をしても応急処置で颯爽と立ち去る。豪快な万引きには笑いですら起きてしまう。
この映画はあえて殺人鬼を用いているが、テーマは勿論人殺しではない。3者の生き方を人生にある価値観や選ぶべき岐路として描いている、のだと思う。
バルデムはもう普通のブロックバスターには出れないだろうな。いや、本人も出る気あるまい。
バルデムとジョシュ(最近絶好調)が互いに別な形で少年に服を譲ってもらうシーンがあるが、そのシーンがとても印象的!二人の違いをとくと見よ!