クジョー [DVD]
炎天下に狂犬病のセントバーナード犬・クジョーに襲われ、故障した車の中に閉じこめられた母親と幼い息子の恐怖を描いた作品。
原作では主人公の家庭不和などが延々と描かれていてクジョーの襲撃もまた主人公にとっての不幸の一つなのですが、本作では映画という事もあり、ただの汚らしい犬一匹が暴れるだけの動物パニック映画と化しています。つまり観客にとつては、さほど怖くないという事です。
ちなみに原作とは結末が変えられていますが、本作に限ってはこれはこれでよいかと。もし原作通りだったら、実に救いのない、やりきれない作品になったと思います。
眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎
タイトルだけ見ると上品なミステリーかと思わせるのだが、副題に「食人の痕跡と殺人タンパクの謎」とある。これだけで只ならぬものを想像させるのだが、中身を読むとさらに尋常ではない。このメディカル・ミステリーはしかも、ノンフィクション。”事実は小説より奇なり”を、地でいく一冊である。
本書でテーマになっているのは、狂牛病などでおなじみの「プリオン」というタンパク質である。プリオン病は、遺伝性、偶発性、感染性という三つの形態を取る、唯一の病気なのである。これが、プリンだったらどんなに良かっただろうと、何度も思わせる恐ろしさだ。
冒頭、イタリアのとある一族を襲った遺伝性の病の話から始まる。この一族の家系は、大多数が原因不明のFFI(到死性家族性不眠症)という難病で命を落としていく。中年期になり発症すると、眠りを奪われ、異常な発汗が始まり、瞳孔が収縮し、首から上がこわばって歩行やバランスを取る能力も失われていくのだ。最大の悲劇は、思考力だけが無傷で残ることである。眠りを切望し、やっと眠りに到達した時には、永遠の眠りにつくという、なんとも皮肉な運命である。
偶発性の例として登場するのは、パプアニューギニアのフォレ族という未開部族である。たった50年前まで食人を行っていたこの部族に、クールーという病気が流行し、その多くは震えが止まらなくなり、やがて発作をおこして命を落として行く。本書の後半で、食人とクールーの関係も解明されていくのであるが、プリオン病に罹りにくい人の祖先は、過去(約90万年前)に食人を行っていた人種であるという事実も発覚する。食人=プリオン病の原因という単純な話でもないのである。
感染性の例では狂牛病の根本的な要因でもある、羊のスクレイビーという病気が紹介されている。これは近親交配によって引き起こされているのだが、元をただせば人間の羊毛、羊肉に関する商売上の野心が生み出したものであるということがわかる。これには、何とも言えない複雑な気持ちにさせられる。
これら三種類の病気に罹った人達のほか、周囲の人、研究者に至るまで、目の離せぬ登場人物ばかりである。その登場人物たちが、複雑に絡みあいながら、なぜか解明に向かっていく流れは、実に見事である。ただしこの問題、タンバク質の折り畳まれ方に要因があるということは分かっているのだが、根本的な解決には未だ到達していない模様である。
読むだけで眠れなくなりそうな、驚愕のノンフィクションである。
インフルエンザワクチンはいらない (双葉新書)
タイトルに惹かれて買ってみた。
中には正しそうなことも書いてあるが、「??」と思うところもある。
確かに現在の日本のワクチン事情に関しては、「ワクチン賛成派」の意見が支配的であるが、それに対するアンチテーゼとして話半分に読むのが本書のいい読み方であると思う。
完全に中立は意見は存在しませんので、あとは「自分で考えて、自分の意見を持つ」のがいいのではないだろうか。
風邪の効用 (ちくま文庫)
人は誰でも風邪を引くのはうっとうしいもので進んで風邪を引きたがる人はいないでしょう。本書はそんな風邪を体質の改善をし、からだを治療してくれるありがたいものと位置付けています。にわかにはなかなか信じられないような気もしますが本書を読み終わる頃には上手に風邪を引いて長生きするぞ!という気分になっていると思います。