奇兵隊 [DVD]
本作品の中核を成すのは長州藩の中心人物である高杉晋作、桂小五郎の2人ですが、個人的にこの2人は線の細いイメージを持っていたので、正直言いますと松平健、中村雅俊は自分のイメージとは大きく異なっていました。特に中村雅俊は前作五稜郭で福沢諭吉を演じており、そのイメージの方が強くて最後まで違和感を拭う事は出来ませんでした(桂は田原坂での風間杜夫の方がイメージに合いました)。しかし松平健に関しては、後篇での血を吐きながらも戦う姿に高杉晋作を確かに感じる事が出来ました。逆に大村益次郎を演じた片岡鶴太郎は妙にイメージに合い、見ていて面白かったです。作品的には28歳という若さで肺結核を患い病没した、高杉晋作という英雄の生き様を描いた歴史ドラマです。ドラマですので史実と異なる部分もありますが、反面脚色される事により見応えのある作品になっていると思います。いかに長州藩が幕末動乱期に苦しい状況に置かれていたか、また後年数多くの人材を輩出した藩とはどのようなものであったのか、等々色々な角度で見てみるのも面白いと思います。画面的にも後篇は戦闘シーンが多く、迫力あるものになっていると思います。奇兵隊は長州藩メインの話ですが、同シリーズの田原坂は薩摩藩メインの話でしたので、2作品は対のようなものだと思います。
「三千世界の鴉を殺しぬしと朝寝がしてみたい」
幕末太陽傳 [DVD]
他のレビュアーの方が触れているように落語の知識があれば倍に楽しめる映画ではあるが、落語の知識がゼロでも十分に楽しめてしまうほどの傑作で、事実、私が始めて見た時はネタになっている落語についての知識はまったくなかった。
時代劇の重みも派手なチャンバラもないけれど、フランキー堺の素晴らしい動き(あの羽織を一瞬で着てしまうシーンとか)を見るだけでも面白い。例えて言うならフレッド・アステアのダンスの動きの素晴らしさと同様に、他の配役は今となっては思いつかないほどの存在感だった。他にもブレイク寸前の石原裕次郎、小林旭、二谷英明といったこの後日活の屋台骨を支えるスターの出演もあり、いまとなっては日活オールスター映画としても楽しめる。
佐平次が女郎屋に現れてからの賑やかな楽しさとテンポの良い演出に圧倒される。これで、もし当初の構想の通りに、佐平次が時代劇のセットから現代の撮影所まで飛び出していく結末だったら最後まで突き抜けたバイタリティあふれる傑作になっていたかも知れないが、この静かなエンディングも印象的でよかった。
川島雄三の代表作のみならず、邦画のオールタイムベストテンでは黒澤、小津、溝口、成瀬とならんでベスト10にも選出されるほどの評価を得ているのも納得できる。
最強の人生指南書(祥伝社新書205)
本書は良い人生を送るべく名言を、分かりやすい言葉で表現している佐藤一斎の「言志四録」から現代日本人に必要なものピックアップし解説を付けたもの。
「壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず」など有名な言葉もあるが、初めてみるようなものも少なくなかった。
多くの名言がピックアップされているため、自分に合ったものがきっと見つかるはず。
そうした言葉が1つでも見つかり、読後の人生が上向きになるんであれば、非常に得をした気分になるだろう。
類書は多々あるが齋藤氏の解説が分かりやすいため、広い年齢層に支持される一冊となろう。
NHK大河ドラマ総集編 花神 [DVD]
放映時、年が若かったせいもあって、特に序盤はあまり楽しめなかったのを覚えています。しかし、後年、司馬作品を読んだりいろいろな時代物の映像作品を見るにつれ、この作品の素晴らしさが判ってきました。このドラマは維新史ものとしても珠玉のできですが、人間の性格などと言うあっさりした言葉では似つかわしくない、「根っこ」「根性」というものまで描き出しています。役者のみなさんもそれぞれ「ベストプレイ」をされていると思います。少しだけ残念なのは、河合継之助のパートが少ないことですね。放映時はその颯爽とした快男児ぶりにしびれました。テーマ曲も大河屈指の名曲でしょう。
蒼天の夢~松蔭と晋作・新世紀への挑戦~ [VHS]
NHKで大昔放映していた時代劇です。ご覧になった方もあると思いますが再見の価値はあると思います。 ストーリーは原作が司馬遼太郎さんだけあってしっかりまとまっていて安心して観ていられますし、何と言いいましても今をときめく野村万斎さんの高杉晋作、そして、中村橋之助さんの吉田松陰が素晴らしい!! 特に野村さんファンの方にはおすすめですね。松陰先生形見の三味線を弾きながら歌ってみせるシーンもありますし、少々ワルっぽいニヒルさがたまりません。 ナレーションもなさっていて、その声の素敵なこと。
歌舞伎や能で基礎をしっかりやっている人の演技は違うなーと痛感しました。
吉田松陰と母親との心あたたまる親子関係には泣けます。現在のような殺伐とした時代だからこそ観て頂きたい。そして素直に涙して頂きたいと思います。