雪と花火 多田武彦 男声合唱作品集 [邦人合唱曲選集]
多田武彦の3つの男声合唱組曲を納めたCD。
「中勘助の詩から」は同志社大学グリークラブ、「東京景物詩」と「雪と花火」は、なにわコラリアーズの演奏。
それぞれの合唱曲ともに、豊かな情感、厚みのあるハーモニー、安定感のある曲の運びが感じられる名演奏です。なかでも「雪と花火」は必聴の出来で、深く感動します。
残念ながら、ときどき何か物を落とすような音や、咳の音が続く(「雪と花火」の終曲「花火」での続く咳の音は、名演奏だけに本当に残念・・・・)のには悲しい想いがしますが、それでもこんな名演奏の録音があって聴けることにありがたい感じがします。
日本合唱曲全集「雨」多田武彦作品集
多田武彦という作曲家をご存知の方は少ないかと思う。
音楽にも色々あるわけだが 男声合唱というジャンルは いささかカルトではないかとは思っている。但し 実際 男声四部で歌ってみると 中々のものだ。因みに 僕の高校は共学ながら男子組というものがあり 校内の合唱コンクールでは 男声合唱を強いられる連中が出てくる。そんな連中が大学にいって男声合唱をやっていることもしばしばだった。
今から20年前の学生の男声合唱の大御所というと この多田の組曲である。本CDは 多田の初期の作品のエッセンスと言ってよいが 結果的に多田は これらの名作をその後現在に至るまで越えられていないと僕は思う。それほどに優れた曲が集まっているのだ。
「柳川風俗誌」を歌ったことで 柳川にも行ったし 草野心平の「さくらちる」が国立の桜から作った詩だということで 見に行ったりした。国立には その後住むことになったわけだが もしかしたら 高校時代の「さくらちる」が 心のどこかに残っていたのかもしれない。
今では歌うことの無い曲たちだが 聴いているだけでも 高校時代を思いだす。
信長の野望 【革新】
自分は十数年前、小学生の頃から(家庭用としては1作目の全国版の頃から)信長シリーズをやっています。
個人的感想ですが、将星録から始まった「箱庭もの」が、前作「天下創世」あたりでようやく遊べる段階になってきたな、という感じです。
そして今回の「革新」、かなりオモシロいと感じる出来になってます。
信長にも驚異を感じさせた越後の竜・謙信、甲斐の虎・信玄は、その異名にふさわしい強さに設定されており、
今回のウリである「技術革新」よりもむしろ、
いかにすばやく富国強兵にはげみ
彼らをはじめとした有力大名の勢力を封じるかが
統一の鍵になります(ホント恐ろしい強さです)。
兵糧の消費も実にシビアで、先を見据えた領内開発をしていかないとなりません。弱小勢力では特にそれが顕著で、
一回の指示ミスで(櫓を建てる前に他の指示を出してしまい圧倒的兵力で潰されるなど)すぐに滅亡しかねませんが、
逆にそれが、今までにない緊張感と戦略性の高さを持たせています。
オモシロいですよ、今作は。
今までになく、終盤まで全然気が抜けないし。
ただし時間がゆっくり取れない人はプレイしない方がいいです。
これだけで休日終ってしまい、逆にストレスたまります。
というワケで全体評価は★3つ(言い変えればそれだけ熱中できるって事ですが…)。
オモシロさは折り紙付き。★5つ。
日本合唱曲全集 多田武彦作品集
混声合唱を20年以上続けてきました。大の多田武彦ファンで、多田氏の楽譜・CD・レコードも沢山収集してきました。昨年は、多田氏の指揮で「柳河」を歌い、感激した思い出を持っています。
このCDは、多田武彦の20代から30代にかけて生み出された男声合唱組曲の名曲を集めた物です。録音年代にばらつきがありますが、日本を代表する名指揮者と実力あるグリークラブの演奏ですので悪いはずはありません。お手本のような演奏ばかりです。
24歳の時に作曲した『柳河風俗詩』は、日本の男声合唱組曲を代表する曲です。師事していた清水脩の元で、作曲の勉強のためのエチュードとして作曲された作品です。後の多田氏の作風とエッセンスがその4曲全てに表れているように思います。
北原白秋が、古里「柳河」に対して、郷愁たっぷりに描いた一連の詩がとても親しみやすく、白秋特有の不思議な世界がそこに描かれています。
多田氏の全作品に共通することですが、そのモティーフとなる詩の選定からして的確で、情景がはっきりとわかる素晴らしい詩ばかりを選んでおられます。長い間、多くの人に愛唱されるためには、曲だけでなく、「詩」の存在の意味を忘れてはいけないと思います。
冒頭の印象的な男声ユニゾンの呼びかけからして個性的です。全編を通してノスタルジックで、悲しげで、日本情緒もたっぷりと含まれています。至極簡単なのに、味わいぶかい仕上がりになっているところが愛唱される所以でしょう。男声合唱特有の部厚い密集和音の縦割りのハーモニーです。
当時、多田氏は、作曲するためにオルガンを使っておられたというお話を聞いたことがありますが、まさしく、オルガンの響きです。ラストの郷愁を誘う終わり方も印象的な名曲です。
他の組曲もどれも大好きで、多くの「タダタケ」ファンにとっては必携のCDでしょう。
銀の匙 (岩波文庫)
中勘助は何と言ってもその文体が非常に好きです。
独特の効果的な比喩表現を用いた、さらっと流れゆくような涼やかな文章に、私はある種の癒しを感じます。
作者の過去を作者とともに振り返っているうちに、自分の幼かった頃が思い出されて、不思議な哀愁と懐かしさが込み上げてきて涙が出ました。
美しい情景と、そのなかに生きる人々。
淡々と過ぎてゆく静かなる日々。
生があり、死があり、出会いがあり、別れがあり。
そうして成長していく勘助少年の姿は実に美しく印象的です。
それにしても自分の少年時代をよくこんなに覚えているなあ…