嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)
九州の堅実な家庭で育った女教師が女性なら意外と誰にでも起こりうる事件?
がきっかけでジェットコースターのごとく転落していくストーリーです。ありがちなストーリーではありますが松子は違います!ソープランドでもプロ意識で頑張る!誰がみても駄目な男にも頑張る!殺人を犯しても頑張る!こう書くと松子はただのポジティブ馬鹿ですが松子が翻弄される姿は昼メロばりの急展開で有りながらリアリティはもちろん心理描写も見事でこちらにまで松子の体臭や息遣いが伝わってきます。ラスト松子の死の真相は読者の淡い期待さえ許さないグロテスクなものですがその結末さえこちら側に訴えかける力強さがありました。
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評判のいい映画であるのにオープニングからしばらくの間
超ハイテンションなハチャメチャさにまったく入る事ができなくて、、、
私は時代からずれているのかと思いましたが杞憂でした。
その後の抽象的、舞台劇的展開のために必要なテンション、設定だったようです。
最初はクサイ言葉ともとれる絵本の言葉が
繰り返されるうちに次第に深い意味を持ち始め胸を打ちます。
アヤカ・ウィルソンがお人形さんのように可愛いです。
俳優陣皆さんがやりすぎくらい熱演です。
ただちょっと気になったのは
ティム・バートンの映画の影響を受けすぎな事。
感動シーンにダニー・エルフマンのような曲を使うのはやりすぎかと。
おかげで感動しそこねました。
その点だけマイナスでこの評価です。
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劇中でえがかれている、
幸江と熊本さんの友情に、
じーんときました。
その友情の描写は、決して
がりがりに彫琢され過ぎて、
綺麗なところばっかり見せる、
無菌室処理的なものではない、
泥まみれの、生々しいものです。
しかし、そこがリアル。
心に響きます。
また、個人的には昭和チックな
雰囲気をこの作品に感じました。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)
ソープ嬢として働いたり、覚醒剤を使用したり、殺人を犯したりした松子ですが、そんな彼女が、普通の夢を描く場面も幾度か出てきます。
親友の遺志を継いで、恋人と小料理屋を開くこと。
美容師の資格を取って、プロポーズをしてくれた理容師の男性と、仲良くお店をやっていくこと。
カットコンテストに出場し、元恋人に自分が立ち直ったことを伝えること。
恋人が出所したら、二人で肩を寄せ合って人生をやり直すこと。
家族に許してもらい、温かく迎えてもらうこと。
彼女の不幸は、それらのささやかな希望がすべて他人に関わることであり、彼女自身の努力だけで報われるものではなかったことでしょう。希望を持っている間は一生懸命努力していた松子も、希望が次々と消えていく理由に気づけないまま、自堕落な生活を送るようになります。
そんな彼女も、最後の最後で自分自身の可能性にかすかな希望を見出し、自分のことを心配し、愛してくれていた人たちがいたことに気がつきます。また、死後に至っては、一度しか会ったことのない甥が自分の生涯に興味を持ち、その結果人間として成長し、自分のために悔し涙まで流してくれた。彼女にとって、救いになったと思います。
明日香の部分が多少物足りないというかちょっと浮いているような感じがしましたが、自分の人生に指針を持つことの大切さを教えられました。