クルターク:カフカ断章
レコ芸で今年度評価の高かったこのアルバム。ベルクやモンクの影響を受けているように思えても形態がソプラノとバイオリンのみであること。ことばの語りのシュールリアリズムの表現として言葉の理解がかなり重要とはいえ、ある一種の心地良さもあり、頭の中に旋律も残るし、声そのものの力強さや声質がいくら高いキーになっても威圧されるようなこともないためすんなり繰り返し聴き込むことになっていった。自分にとって超久しぶりに新しい音楽として聴き惚れてしまった。現代音楽に耳を傾ける人には必聴盤です。
閉鎖病棟 (新潮文庫)
それぞれの人生を、そしてそれぞれの心の病(と一般に呼ばれているもの)を背負いながらも、日々を淡々と暮らす病棟の人々の普通さ。一方、正常の顔をして病院の外で暮らしている人々に見え隠れする、心を失ってしまうということの異常さ。視点をほんの少しだけずらしてみることで見えてくる、普段は見えない世界。そういうものをこの作品を通して、フィクションとはいえ、垣間見たような気がする。何かにつけ人は無意識に、弱さや病を何かいけないもののようにして蓋をしてまいがちだが、それらは心の垣根を取り払い、心を結びつける。運命と呼ばれるものに負けない、逃げない、底知れぬ強さが、一人一人の登場人物の中にある。これら全てを、作者は丁寧に描いている。読後、上を向いて生きなければ、と勇気をもらったような気がした。
閉鎖病院
時代は大正、帝都近郊にある大病院に赴任した薬剤師の主人公が、病院内で起こる事件に巻き込まれていく―――
選択肢によってシナリオが変化するマルチエンディングのサウンドノベルです。ED数が多く、またシナリオも、ミステリー・オカルト・コメディー・少々のお色気と幅広いので飽きません。
選択肢によって物語の主要人物との親密度・パーソナルポイントが溜まり、一定の数値に達すると新しいシナリオが出現します。一度選んだ選択肢は色が変わるのでわかりやすかったのですが、既読スキップができないのが不満です。文章量が多いので何度も同じところを読むのはちょっと面倒でした。
肝心のシナリオは、ボリュームがありしっかりと読ませてくれます。重要なイベント時に挿入されるムービーも多く、場面を盛り上げてくれます。時代背景、サウンドノベルが好きな方、ミステリが好きな方にぜひプレイしていただきたいです。長く遊べたこともあって、評価5にしたいところなのですが、テキストの既読スキップができないので星4つです。
DEMENTIUM 閉鎖病棟
かなりこわいですね。一歩一歩、そこを歩く恐怖が味わえます。DSなのにここまでリアルにできたのはすごいと思います。バイオハザードとかより普通に心臓に悪いです。まあ欠点と言えば操作のやりづらさでしょうか。最初の10分は操作のしにくさに戸惑いますが慣れれば文句なし。相互的にはいい作品です。
2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)
2チャンネルについての記述は最初の10ページ足らずなので
タイトル買いしたひとは肩透かしを食らうかもしれません。
大部分はコンピューター業界にまつわる時事的な問題について
Web2.0やミクシィ、はてな、You Tubeなどについてコメントしています。
2ちゃんねるというより管理者のひろゆきさんの見解について興味のある方にとっては
見るべきものがあると思いますが、あとがきにあるように本人が書いているわけではありません。
完全にスタッフにお任せ状態で本にしたようですので、2チャンネル同様のスタイルで読んでください(笑)。