レコード芸術 2009年 07月号 [雑誌]
名曲の名演奏を評論家の投票で選ぶという昔ながらの方式は、長い読者からすると食傷気味かもしれない。しかし、レコ芸も常に新たな読者を獲得しており、音楽鑑賞の経験が深い評論家が多数で薦める演奏を、まずないし一応耳にしてみるということも悪くはない。私がもしクラシックに興味を持ち始めたばかりの読者であるなら、この企画は大変ありがたい。それに、新たに出されるCDが結果にまったく反映されていないわけでもない。この意味では、一定以上の年数を経た読者にとっても、参考書として機能しているのではないだろうか。すくなくとも私は楽しめる。他のレヴュアーの方が言及されている「ブラインドテスト」は興味深い提案だと思うので、レコ芸の他の企画として並行的に行って欲しいと思う。さらに、知名度が低い隠れた名曲の発掘は、NML(ナクソスのサイト。詳しくは100人100曲クラシック新定番100人100曲 (アスキー新書))との連携によって、これも別企画として成り立つように思われる。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(初回生産限定盤)(DVD付)
神尾真由子の魅力が凝縮された演奏です。嫋々とした哀切さは無く冷徹で強靭な演奏です。
最後まで、すっかり引き込まれて聞いてしまいました。凄い演奏だと思います。
録音はヴァイオリンにフォーカスされ、中央よりやや左よりに大きめの音像で定位しますが、
繊細な微小音から強奏時の鋭い音まで極めてクリアに捉えています。
オーケストラはヴァイオリンのさらに後方に定位し、解像感や色彩感やダイナミックレンジは
やや乏しいですが無難な演奏と録音です。
全体的に録音レベルは高く、5dB程度音量を絞る必要があります。