悪人 スタンダード・エディション [DVD]
芥川賞作家・吉田修一の、’07年、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第8位、「このミステリーがすごい!」国内編第17位にランクインしたベストセラー小説を『フラガール』の李相日監督が映画化。吉田修一は共同で脚本も手がけている。
福岡県の三瀬峠で保険外交員の若い女性の遺体が発見された。事件当初、捜査線上に浮かび上がったのは地元の裕福な大学生だったが、当人の供述と新たな目撃者の証言から、やがて容疑の焦点は長崎県在住の土木作業員・清水祐一へと絞られる。しかし警察の目を逃れ、彼は出会い系サイトを通じて知り合った女性・馬込光代を連れ、逃避行を始める。
私は、今売れに売れている文庫版ではなく、ハードカバー版で原作を2年前に読んで、“魂が揺さぶられるような”感動を受けたが、映画はフランス映画っぽく、一種独特の雰囲気を醸し出していた。
清水祐一役の妻夫木聡と、一緒に逃げる馬込光代役の深津絵里。ふたりの体当たりの演技は胸に迫るものがあった。また原作ではあまり重きを置かれていない被害者の父親役の柄本明、祐一の祖母役の樹木希林が迫真の演技で、ストーリーの中でいいウエイトを占めていた。
悪人 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]
僕はいつも作品に原作が存在する場合、それは読まずに観る。今回とて例外ではなかった。そうしてみると今回はヒロインである深津絵里が登場するまでにずいぶん時間があったなと感じた。でもこれ聞いた話によると前後編に分かれた原作でも同じだそうでヒロインの登場は前編も後半を超え、どうやら最後のほうらしい。だから原作を読まれた方なら納得だろう。
ではそれまでに何が。ここまでがこの作品の出来を左右していたような気がしてならない。そしてキャスト、スタッフ陣は見事にそれに打ち勝っていたと思う。妻夫木聡演じる主人公をいかにして殺人に駆り立てたかはもちろんのこと、細部にまでわたる登場人物たちの人となり、人間関係というのか相関図というのか。2人が報われることなどありえない逃避行に至るまでにこれらはすべて必要だったのだ。前半はそれを見事に描ききっている。
後半は逃避行と前半に描かれたことがベースになっているのはもちろんのことだが本題に入る。と、ここで様相が少し変わってゆく。2人の本当の愛を知らないカップルの物語であることに気づかされ、また同時にこれは奪われたものだけでなく、奪った者の葛藤、それだけに留まらず現実は周囲も巻き込み、恐ろしい勢いですべてを絶望へと飲み込んでいくということを実にリアルに物語る。
奪われた者ものの苦しみを描いた作品はたくさんあるけれど、奪った者にまで踏み込んだ物語は斬新でもあった。またまたこのあたりの描き方がお見事なのだ。観終わった後、深く考え込んでしまうだろう作品だが、その世界観の素晴らしさはほかでは味わえないものだった。
悪人 (特典DVD付2枚組) [Blu-ray]
深津絵里が受賞した事でかなり話題になりましたが、実際に土木作業員を経験しオーラを消した妻夫木聡も素晴らしく、雑誌で知ったのですが、これが3作目の共演という2人。原作者の吉田修一と李相日監督が共同脚本ということが丁寧な脚本になっていると思いました。ミスキャストというのがなくそれぞれの俳優が適役だと思いました。
イケメン実は、マザコンお坊ちゃんの圭吾(岡田将生)にのぼせあがっている佳乃(満島ひかり)に手ひどい仕打ちをされてそこへ追いかけてきた祐一(妻夫木聡)…。孤独で閉鎖的な生活をしている祐一は佳乃を出会い方はともかくもSEXをしているのだから情がうつっていて半ば佳乃のことを「彼女」だと思っているようなところがありますが、佳乃にとって祐一は単なる「セフレ」なんですね。佳乃の方はぶざまな姿を観られてプライドはズタズタ、行き場なのない怒りをおとなしい祐一にぶつけていただけなんですね。祐一にとってはケータイでキャミ姿で媚態を自分に見せていた女とは同一人物だと思えない…。それがあの悲劇を生んでしまったのではないでしょうか?岡田将生のような人気のある若手俳優は普通ああいう、観客が共感できない役は演じないと思ったのですが「雷桜」での雑誌インタビューで、「演じたい役は?」の質問に「演じたい役とか言っちゃいけないと思うんです」との答えに、役者としてのたのもしさを感じました。
祐一が同じ孤独な心を持っている光代(深津絵里)と先に出逢っていたらこのような悲劇はおきなかったと思うと気の毒でなりませんでした。映画のシーンでも祐一も言っていますが。泣かそうとしている映画ではないのに涙腺がゆるみっぱなしでしだ。
祐一にとってあの灯台は母の象徴で、幼い祐一を捨てていった母が今の祐一に詫びてくれる事を心のどこかで激しく求めている。だから、祐一の母に会っても大金をたかるのです。なぜならそれによって母親のたとえ仮の愛情でも感じられる事ができるから…。
またマスコミにおわれる祐一の祖母役の樹木希林の茫漠とした表情や、柄本明の愛娘を失った行き場のない怒りの演技なども素晴らしく、また圭吾の友人で圭吾に怒りをあらわにする大学生の友人役も良かったと思います。
演出も素晴らしく、セリフにたよっていない映画というか、たとえば、光代が祐一の赤い服を着ていることによって2人の中が親密になっていることをあらわしているシーンや、雨の中祐一の後ろ姿に悲鳴にも似たクラクションを鳴らす光代、ラスト近くの灯台小屋の床に押さえつけられた祐一が必死に手を光代へと伸ばそうとするシーンは2人の未来をあらわしているようで、胸がしめつけられました。また光代が献花に行くも引き返すシーンは決定的で、祖母が祐一からプレゼントされたスカーフをガードレールに結んでいくシーンも印象的でした。殺人は決して許される事ではありませんが、すべての人に見捨てられた祐一が本当に気の毒に思えました。
「悪人」は誰なのか?それはわたしにはわかりません。もしかしたら昔と違って人とかかわりをもたない個人主義が、人に注意する事もされることもない、そんな1人1人の無関心や鈍感さの「社会」が「悪人」なのかもしれないと思いました。
ぴあ別冊 「SODA」 2011年2/1号
嵐の特集は、写真と座談会を合わせて14ページあります。
座談会は「嵐の2010年の10大ニュース」と題して、あーだこーだと話をしていくという内容です。
相変わらずの掛け合いで、おもわず笑ってしまいます。
嵐目当てで購入しましたが、他の記事も良かったです。
何より、全ての記事において、写真が綺麗でした。
内容は余計な装飾がなく、写真と文章というシンプルさが、とても読みやすかったです。
広告も、記事の邪魔にならないように配置されていて、雑誌全体がスッキリしています。
今号は、特に豪華だと思います。
嵐特集だけでなく、向井理、ニノ&松山ケンイチ、ジャルジャルの記事も、かなりのボリュームです。
今号は、購入して良かったと思いました。
ロング・ラブレター~漂流教室~ Vol.2 [VHS]
ドラマにしては最高のクオリティをほこってきたロングラブレターの最終回です。このドラマは色んな所に色々な意味を持った場面、台詞が盛り込まれているというのももう一つの魅力です。何度も見直すことによって、一度では良く分からなかったことがだんだんと見えてきて、もっともっとロングラブレターの世界に引っ張られてゆきます。ドラマでこんなにも感動したことはないというくらいに1つ1つのストーリーに感動してしまいます。このドラマを見ることによってたくさんのものが得られると思います。絶対に最終回まで見てください!!!