ボーイズ・ドント・クライ【字幕版】 [VHS]
この映画は、主人公を取り巻く人々の激しさが色濃く、見終わった時には重苦しい気分にさせられた。主人公が痛々しすぎてたまらなかったからだ。男だとか女だとかは関係なく、主人公を巻き込んでいく出来事がある意味当たり前で、そこらじゅうに転がっていそうで、容易に自分を重ねることができた。望みも喜びも快楽も、葛藤も後ろめたさも恐怖も。
性同一性障害も性犯罪も、ニュースなどで扱われている。決して絵空事でないその現実が急にこの身に押しかかるような気がしてしまった。主人公を取り巻く人物たちが主人公に対して見せた笑顔。それがたった一つの嘘-主人公にとっての望み-が暴かれただけで変わってしまった。彼らにとって、主人公はモンスターだった。残酷な話だと思うのと同時に、出来事の数々は、とてもこの現実を映しているのだと思わせられる。友人たちに拒絶され、裏切られ、人としての尊厳さえも傷つけられる。精神的にも肉体的にも深い傷を負った主人公には絶対的な支えが必要だった。それが主人公の恋人の存在だ。ラストでの恋人とのやり取りでは少し慰められる。
憎悪犯罪は歪んだ考えからなる"偏見"から生まれる。その正当性の欠如、非人間性、そういったことを考えさせる。性同一性障害者を身近(家族、親しい友人など)に持つ人にこそ見てもらいたい映画だと思う。
boys don’t cry(ボーイズ・ドント・クライ) (角川文庫)
翻訳調の抑制の効いた文体で、淡々と語られる、80年代トーキョーのナイトライフ。岡崎京子の『東京ガールズブラボー』(宝島社)と、本棚に並べて置きたい。
ボーイズ・ドント・クライ [DVD]
この作品に出会って、性同一性障害や同性愛についての見方が確実に変わりました。あまりに衝撃的で、ラストは涙も出ませんでした。この作品から読み取れることは、人間の恐ろしさだと思います。自分とは違う考え方や生き方を願う人間を恐れから攻撃する気持ちが分からなくないだけに、非常に戦慄しました。一度は見る価値ありです!
ボーイズ・ドント・クライ [DVD]
この映画はアカデミー賞主演女優賞を獲ったこともあって、
とかく、主役のブランドン(もしくはティナ)を演じた
ヒラリー・スワンクに注目されがちだと思うんですけど、
でも、ブランドンの彼女ラナ役のクロエ・セヴィニーや
ブランドンが実は女であることを知って、最後殺してしまう友人2人、
ジョン役のピーター・サースガードとトム役のブレンダン・セクストン3世も
本当に素晴らしい演技を見せてくれるんです。
特に、信頼していたブランドンが実は性同一性障害を持つ女性だと知り、
それまで自分たちが信じていたものが崩れ落ちいって、
「裏切られた!」という思いが膨らみ、ブランドンに手をかけるジョンとトム。
ダークサイドに堕ちて、単なるワルが本当のワルになってしまう
彼らを演じたピーター・サースガードとブレンダン・セクストン3世は、
もしかするとヒラリー・スワンク以上にリスキーな役を演じたのかもしれません。
この映画は、同性愛者や性同一性障害を持つ人々と共に生きることとは?
ということについて考えたり話し合ったりするだけではなく、
非常にリスクの高い役柄に挑んでいった俳優たちを評価する作品でもあると思います。