NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第2部 DVD-BOX
近年稀に見る傑作ドラマであった第一部にも、欠点はありました。
秋山兄弟。子規と律。
この主役4人がからむシーンは、非常に奥行きの深い人間ドラマになっており、文句なしの面白さなのです。
ところが、彼等が登場しない政治外交がらみのシーンは魅力が今イチで、
俳優さんも、伊藤博文を演じる加藤剛さん(これは大変な名演)を除いては、
役にあまり馴染んでいないように見受けられました。
日露戦が間近に迫る第二部では、第一部以上に、政治家や外交官、秋山兄弟以外の軍人の出番が多くなるわけですから、
彼等の登場場面が面白くなければ、ドラマの魅力は半減です。
第一部は良かったんだけどねえ〜などという寂しいことになりやしないかと、私は内心、かなり危惧していました。
ところが、いざフタをあけてみるとどうでしょう。
第一部では今ひとつ役に馴染みきっていないように見えた役者さん達も、
別人のような生気を放って生き生きと行動し、
彼等の登場する場面のひとつひとつが、実に見ごたえのあるものになっているではありませんか。
第一部があまりに素晴らしかったので、これ以上のものはひょっとしたら出来ないのではないかという危惧は、
完全に素人の取り越し苦労に終わった感があります。
第6話では、ロシアを舞台にした広瀬の大ラブロマンスに胸を締めつけられ(ロシアロケの豪華さは一見の価値ありです)
第7話では、悲しくも崇高な子規の死に号泣し(香川照之さんの世紀の名演が堪能できます)
第8話では、迫りくる日露戦の緊迫感と、その中でのひとびとの、切なくも覚悟に満ちた感情のやり取りが見事な演出で描かれ、
最終第9話では、NHKの「覚悟」が心地よい、旅順閉塞作戦の一大スペクタクルに息をのみます。
とにかくどの回も見どころ満載。お腹一杯になることうけあいです。
第一部でも見られた戦闘場面の問題点。
一体どこでどんな戦闘が行われているのか、その全貌がつかみにくいといった編集上の問題点は、
第9話を見る限り、いまだ完全に改善されていないような気がします。
それが少し気がかりと言えば気がかりですが、
そんな欠陥は、第二部の分厚い魅力の前では、小さなアラに過ぎないように思われます。
残った欠点は来るべき第三部で改善されることを期待して、
とにかく今はこの、近来稀に見る傑作ドラマを存分に楽しみましょう。
このドラマは良くも悪くも見どころが多過ぎて、一度ではその魅力を隅々まで味わいつくせません。
こういう時こそ、DVDの出番。
繰り返し繰り返し、重箱の隅まで鑑賞し尽くして、この作品の魅力を満喫しましょう♪
アマルフィ~サラ・ブライトマン・ラヴ・ソングス~
映画『アマルフィ 女神の報酬』のオフィシャル・イメージ・アルバムとして、これまでのサラ・ブライトマンのアルバムの中から、サラ本人と、彼女のプロデューサーのフランク・ピーターソンが選曲したベスト・ヒット曲集。
冒頭に収められた大ヒット曲、サラの十八番である「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」(アルバム『CLASSICS』)はじめ、久しぶりにこうして彼女の歌声に触れてみて、改めてぞくぞくさせられましたね。透明、リリカルな声の美しさとともに、今回特に感じたのは、スイートな歌い口の上手さ。音楽のメロディ・ラインの歌わせ方がとても滑らかで、耳当たり(?)がいいんです。美味しいワインを飲んだ時みたいに、素敵にいい気分になりました。
なかでも、映画『タイタニック』のテーマ曲「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」のイタリア語ヴァージョンである第3曲「イル・ミオ・クオーレ・ヴァ」(アルバム『EDEN』)と、ラフマニノフの作品21-7の歌曲「ここは素晴らしい場所」(アルバム『LA LUNA』)のサラの歌声に、「わあっ!」と心を持っていかれました。
歌姫サラ・ブライトマンに、乾杯(^.^)/ ☆☆☆☆☆
坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)
正岡子規の死から日露戦争開戦までが描かれています。
戦争といえば、圧倒的な国力の差を気持ち一つで埋められると
考えた太平洋戦争した思い浮かびませんでした。
日露戦争も同じようなものかと思っていましたが、
国家を守るために今何をしなくてはならないのかを第一に、
冷静に状況を判断し事態に対処していく各々の姿に熱くなるものがあります。
同じ戦争でも、携わる人によってこうも性格が異なるかなと考えさせられます。
坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)
司馬遼太郎の作品を始めて読んだ。
産経新聞の記者出身の作者の文体には感心しなかった。書き流して十分な推敲をしていないという印象。
前半は、秋山兄弟と正岡子規を中心に話が進む。しかし作品の後半は、日露戦争のことばかり。
長編としては構成が悪い。
正岡子規が死んでから以降は、主人公たちがほとんど登場しない。
主人公を中心に展開する小説ーを期待するとかなり期待ハズレにも。
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」オリジナル・サウンドトラック 2
ドラマ「坂の上の雲」OST第二弾です。
第一枚目のアルバムが交響楽の様な楽曲編集ならば
今回は純然たるサウンドトラックとして作られたアルバムでしょう。
第一曲目の「少年の国」は第一部のラストでも良く流れていた曲で
トランペットが高らかに凱歌を歌い上げるような名曲です!!
第一部に使用された未収録曲はどれもOSTとしては名曲で
オーケストラを熟知した久石さんならでは奥行きの深さを感じます。
さて、第二部(まだ放映されていない(汗)の楽曲ですが
やはり純然たるサウンドトラックとして作曲されたものです。
近代国家として立国した日本の前に立ちはだかるロシア。
真之、律、季子(真之妻)、…そしてロシアとの戦で離れ離れとなる広瀬とアリアズナ。
スラブ風楽曲あり、ロマンチックなメロディの「慕情」あり
圧迫していく情勢の中、開戦に到る少し陰鬱な物悲しいメロディが続く。
ラストの「Stand Alone」は
第一部のサラ・ブライトマンさんから森麻季さんに代わっています。
第一部と比べて少し大人びているイメージの曲になりました。
第一部が「青春の国 日本」なら、
第二部は「円熟した悩める国家、日本」なのだろうか?
第二部放送が楽しみです。このCDもおススメします。