新版 古寺巡礼京都〈32〉高山寺
阿川佐和子の巻頭エッセイ「高山寺探訪 残り紅葉まで」の味わいのある文章に魅了されました。軽妙で洒脱で、文章の巧みさはお父さん譲りです。書かれている残り紅葉は12月上旬の紅葉で、高山寺が少し静かな佇まいを持てる時期の散紅葉が素敵な景観を作ります。17ページの表参道の写真は新緑の緑に包まれていますが、残り紅葉の表参道の美しさは格別です。雪景色の表参道も掲載してありますが、凛とした雰囲気が伝わってきます。
11月は1日に3000人の観光客が訪れると書かれています。山の中ですので境内にはいつも静かな雰囲気が漂っていますが、紅葉の時期は普段の佇まいを一掃するような喧騒に満ちていますので、それを覚悟すれば他では見られない紅葉の観賞ができると思います。
本書は高山寺の魅力を写真と文章で紹介したもので、学術的にも美術的にも価値の高い出版物でした。有名な国宝の鳥獣戯画は、京都国立博物館と東京国立博物館に本物は預けられ、石水院のガラスケースにはレプリカが飾られていますが、本物と見間違うほどの精巧さでした。
高山寺山主の小川千恵師による「現代へのメッセージ 明恵上人『あるべきやうわ』」、鞍田崇「高山寺と明恵上人」、高名な歴史学者で京都市美術館長・村井康彦「高山寺『茶の実』考 明恵と栄西」、京都に関する多くの書籍を残している名古屋外国語大学教授・蔵田敏明「高山寺文学散歩」、サントリー美術館学芸員・三戸信惠「『鳥獣戯画』と高山寺」、京都工芸繊維大学教授・日向進「高山寺石水院」、京都大学大学院准教授・大槻信「高山寺の寺宝」という各分野の著名な学者による魅力ある文章が掲載してありますので、読むだけで高山寺の全容が理解できるでしょう。
奇蹟が起きたパワースポット
最近よくパワースポットということをニュースや雑誌などで見かけていましたが、遠くて行けないことやどこか信じがたい迷信のようなものととらえていました。本が届いてとても驚いたのは本を見て手にとったとたんに背筋がびくびくしてぞくぞくして本をひらいて孫さんの写真などを見てまた身体がぶるっとなってなんだこの本はと叫びました。しばらく読んでいくと今私が怪我をしていて体調を崩しているからのように感じ、とにかく買い物へ行くにも仕事にもどこにも持ち歩きました。なかなかページを開くこともできず唐招提寺の写真のページを開いて胸に置いて寝たこともありました。なにか胸がすっきりするというか体調がよくなっていく感じがとてもしました。高山寺の雨ざらしになっている観音像のところがとても好きです。P.154の山川さんが自然に対して話かけるところも今までの自分と真反対で感動しました。お寺と神社に対する今までの概念も逆転しました。パワースポットと言われている場所がなにかの法則で理にかなっている測定できるということや、理系的な側面からと、文系的歴史的側面からの両方からの探求によって今までのパワースポットに対する気持ちや固定概念が変化して崩れさりました。理系からの探求は私のような超能力を持たないただの凡人にも平等にエネルギーやパワーが受け取れるように感じてきました。山川さんと森田さんの対談は驚きの連続で楽しくて自然に笑いがあふれわくくして笑顔になりました。悪魔とパワスポのところを読んで涙がでました。ありのままそのままで生きていく勇気がわきでました。神のふところの大きさに感動し神のことがとても好きになりました