レ・ミゼラブル〈下〉 (岩波少年文庫)
レ・ミゼラブルは、ぼくが読んだ小説でベスト3に入る作品である。
文は短くて、挿絵も美しく分かりやすい。
原書の抜粋版であるが、とてもいい翻訳だと思う。
この本は、19年もの牢獄生活を送った囚人ジャン・バルジャンと途中で彼に助けられた少女コゼットの話である。
彼女は優しいジャン・バルジャンを父のように慕う。
ぼくはつい最近NYでこのミュージカルを鑑賞したがこの本を読んでから観るほうがずっと分かりやすい。
手元に置いておくと嬉しい、何度読み返しても面白い作品である。
すべての人に薦めたい。
レ・ミゼラブル〈上〉 (岩波少年文庫)
150年もの間この作品が人々の心を捉えつづけたのは、次々と苦難に見舞われた主人公のひたむきな生きる姿勢ではないでしょうか。人間は大きな苦難や困難に見舞われたとき、折れやすく屈しやすい。もちろんこの主人公も最初はそれらに負け、19年もの監獄生活を送ることになります。しかし彼は出会ったのです。彼の濁った魂を浄化してくれる人物に、そしてその浄化された魂で守っていくべき一人の少女に。彼のまわりに起きる事はどれもドラマチックで印象的なことばかりで、読者をぐいぐい引き込みます。語り口も鮮やかで目の前に光景が広がるようです。野原に立ちつくす主人公が悪から善への回帰を果たす場面は、今でも私の心に焼きついて離れません。また収載されている原著挿絵も非常に魅力的です。
児童文学名作集
上川隆也さんの、テレビとはまた違うイメージのやさしい声が心地よく聞こえてきます。また、幼い頃に読んだ童話の数々も懐かしく、特に「手袋を買いに」は、雪景色とかわいい子狐の手のひらが浮かんできます。日常の慌ただしさが何かばかげたもののように思われ、とげとげした気持ちがやさしくなるような一枚でした。