ブレイヴ・ニュー・ワールド
アイアン・メイデンの2000年作
92年の「Fear of the Dark」以後は、ブルース・ディッキンソンの一時脱退とともに、
ファンからは不評が続いていたが、それを打破することになった復活のアルバム。
勢いの点では往年ほどではないが、聴かせるメロディとドラマティックな展開の曲が多く、
8分、9分という大曲ではスティーブ・ハリスのプログレッシブな感性も垣間見える。
復帰したブルースの歌声もそうだが、年季を経た自信と絶妙の力の抜け加減はさすがで、
67分はやや長尺ながら、ファンの求めるメイデンらしさに溢れたギターフレーズ満載の好作。
メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー [DVD]
『メタルの世界はメチャメチャでかいのに、ほとんどの奴らはその存在すら知らないんだ』
――Rob Zombie
人類学者かつ筋金入りのメタル・ファン、サム・ダン監督による、メタルの歴史・文化を扱ったドキュメンタリー映画。
メタルの世界に足を踏み入れた初心者さんから、生まれる前から聴いてるような筋金入りな御仁まで、メタルに興味があるなら、楽しめると思います。
でもほんとは、メタルという音楽に偏見を持ってる人や「なにそれ美味しいの?」ていう人にこそ観てもらいたい(笑)
本編も凄いが、特典discが充実しすぎ(笑)
特典discの方には日本人のアーティストやレコード会社や音楽雑誌の関係者、も多数出演してます。
個人的には、GORGOROTHのゴオル氏が一番いい味出してたと思います(笑)
ユー・キャント・ハート・スティール
英国出身The Morning Afterの1stアルバムです。
AX7、Iron Maiden、Dragonforce+グロウルボーカルな感じです。
あ、普通にハイトーンでも歌ってますよ。
ノーマル7:グロウル3、ぐらいでしょうか。
で、ノーマルコーラスは3度の和声になっていてこれがまたウマい。
ギターソロは英国の大先輩Iron Maiden並みにユニゾンしまくりです。
6曲目「In The Heart Of The Young」でピアノから始まるバラードを
配置していたりするところもアルバムに起伏を作っていて最後まで
まったく飽きません。
同時期に発売されたMean Streakが正統派HMの直系だとするなら、
このバンドは2000年最初の10年間の総括的HMバンドかと・・・。
Razorhead
メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー [DVD]
ヘビーメタルを社会現象と捉えて、真正面から社会の中でのメタルおよびその信奉者の立ち位置を探ろうという、メタル文化人類学ドキュメンタリー。
はっきりいって、誰にもお勧めできるという代物では到底ない。これを楽しめるのは相当コアなメタルファン、しかも長い年月にわたっての筋金入りの。
メタルが好きであるなら、あちこちで共感できるシーンがある。中でもハイライトは作者自身がもっともこだわったポイントであろうノルウェーのブラックメタルを取り巻く状況。音楽の名を借りて、殺人や教会放火が正当化されうるのかというのはいささか重いテーマではあるが、今のメタルのひとつの側面を語るにははずせなかったのだろう。個人的にはメタルと人種差別なんてテーマももっと掘り下げて欲しかったが、ボーナスとあわせてこれでも相当なボリュームであり、そのあたりはできれば続編を期待したいところではある。
ボーナスDVDもいちいち貴重で、本編を理解する手助けになるばかりか、モーターヘッドのレミーなどボーナスのほうが数倍素敵!(素敵すぎて本編ではカットせざるを得なかった?)
ティラニー・オブ・ソウルズ
前作『ケミカル・ウェディング』からライブ盤を挟んでいるとはいえ、実に7年振りのソロ作である。前々作から共に作品づくりをしているロイ・Zが本作で全てのギターを弾いており、素晴らしい仕事をしている。自身のバンドトライブ・オブ・ジプシーズよりもプロデューサー&コンポーザーとして現在のメタルシーンに必要不可欠な存在となっている彼だが、本作における弾きまくり具合はスゴイ。巧いギターに巧いヴォーカルがいて良い作品が出来ないわけないのである。
ソロアーティストとしてのブルース・ディッキンソンが創作する作品はダーク且つメロディアスなメタルでそれは本作でも展開されている。言うなれば本作は前作『ケミカル・ウェディング』と前々作『アクシデント・オブ・バース』の中間点に位置しており、ブラックサバスっぽい#9、10、本職アイアン・メイデンっぽいリフ&歌メロの#3、強烈な泣きのバラード#5そして疾走曲#2、#7と非常にバランスのとれた作品である。特に#2はシグルカットされ、PVもつくられるという。優れたCLASSIC METAL ALBUMだ。