イン・ザ・プール [DVD]
映画館に5回通いました。観るたびに大笑いしました。
一番はじめは松尾スズキが面白そうだなと思って観に行ったのですが、もちろん松尾スズキは面白かったけど、なんといってもオダギリジョーが絶品!こんなに面白いことをやっちゃうなんて。おろおろしてて自信なさげな様子のオダギリさんもとってもすてきでした。DVDの発売を待っていたので、うれしいです。
イン・ザ・プール [DVD]
現代人は疲れている。離婚や会社でのストレス&不倫は明治維新以降ずっとあるのだろうが、家電製品の消し忘れ不安症はオール電化時代ならではの「病」だろう。こんなトンデモ病を治す(?)医師として登場する松尾スズキがまず強烈だ。三木組作品で松尾スズキ主演なんて、もうこれだけで観る前から「傑作」の予感がする。病院はなぜか横浜港シンボルタワー(笑)。あそこを医療施設にしてしまった作品を他に知らないが、横浜市民でも「知る人ぞ知る」未来的スポットなので(中心部から遠い)、一目見ただけで怪しそうな外観である。そこへ駆け込んでくる3人の「困った人たち」がこれまた凄い。オダギリジョーのバカ演技は新鮮だし、田辺誠一の普段は我慢している「爆発寸前」の芝居も流石だ。それと市川実日子。あの心配性って凄く理解できるのだが(笑)、仕事にまで支障が出てくるとなれば問題だ。「マトモじゃない」4人の主役を、一番突き抜けている三木監督が撮るのだから、そりゃあ物凄いテイストである(誉めてます)。近作では少し「本物の映画監督」っぽく進化している三木監督だが、この頃からセリフの「キレ」は抜群だ。メイキングを観ると、2004年の夏に撮影が行われており、この年は観測史上最高の猛暑だったことから、うちわが大活躍である。山手の洋館跡を利用したレストラン「えの木邸」での撮影は特に大変だったろうなあ・・・。外のテラスは日陰ないしね。まあ、日々の激務で疲れている人がいれば是非お勧めしたい1本だ。自分を含めて笑い飛ばすことができます。星4つ。
空中ブランコ (文春文庫)
本の雑誌の目黒考二さんが、ラジオで紹介してた本。
その紹介の仕方がとにかく面白そうで、迷わずその当日に購入。
なんていうか、傑作です。快作?
伊良部最高!とんでもない精神科医なんだけど最高。
注射が好き。看護婦Fカップ。(←ちなみに愛読誌「ロッキンオン」(笑))
サーカスの団員の患者には「サーカス、今行こう!」。
プロ野球選手には「キャッチボールしようよー」。
帰ろうとする患者には「いやーん帰んないで~」。
それでも患者はかならず癒されてるんですよね。
ただのユーモア小説とあなどるなかれ。
短編集ですが、ラストがどれもサマになる。
映画の終わり方みたいな素敵な読後感が一つ一つの作品にあります。
するする読めてしまうようでいて、人物描写のバランスの良さ、構成の無駄のなさにはなかなか真似できない巧妙さがあります。
そして薄くもなく濃すぎず、短編小説でこういう佳作にはそうそうお目にかかれませんね。
最後の「女流作家」は、まさに自分の今の状況にそっくり。
それに私も日本映画大好きだし…かなり入り込んで、最後では涙してしまいました。
ドラマか映画になるとしたら、ヒロインの親友のさくら役には、ぜひ寺島しのぶで!って、思い入れが強すぎるか…。
ま、とにかく笑ってるうちに、あれっ、自分の悩みも癒されてない?と、そんな不思議本でもあります。
マイナス点はつけられません。
激しくおすすめ。
イン・ザ・プール (文春文庫)
神経科医の伊良部一郎には、医者としての美徳がない。それどころか、社会人の適性があるかどうかも疑わしい。無邪気かつ無責任な言動に、患者は振り回されっぱなし。しかし、気がつけば治療されている。伊良部は患者の話を聞いてないようで聞いているし、診ていないようで診ているのだ(ただ、あまり考えてはいない模様)。そんな伊良部と5人の患者の物語。
どの話を読んでも笑ってしまうが、緻密に描かれた患者の様子には怖さも感じる。似た症状の人が、読者の近くにいるかもしれない(私の場合「コンパニオン」「フレンズ」がそうだった)。文章のテンポが良く、肩肘張らずに楽しく読める作品。
家日和 (集英社文庫)
ガールを読んだときもそう思ったのですが、
奥田さんって、女性を見る目が優しいです。
女の底意地の悪さや、どうしようもない情けなさや、
そういうのが、全然感じられません。
女だけでなく、人間全部に優しいのかもしれないなぁと思います。
短編集なのですが、どのお話も、それなりに大変なのに、なぜかほのぼのとして。
くすっと笑えるし。
ほんとうに安心して読める1冊と思います。
定価で買ってもおしくない本と思います。