龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン (祥伝社文庫)
既刊「あやつられた龍馬」の文庫版。この夏、龍馬関連書をいくつか読んだが、これと「龍馬伝説の虚実」榊原英資著、が最も印象に残った。榊原著は近代化のため、やむなく「扼殺」され「葬送」されざるを得なかった江戸の世を愛惜しつつ、薩長主導の明治の特異性に疑問を投げかけ(明治を「清廉でリアリズムを持っていた」素晴らしい時期とする司馬史観とは一線を画す)、なぜ龍馬の死がこの時期無視されたのか、後日龍馬伝説は如何様に形成されてきたかを解く好著。

さて加治著は、タイトル、使用言語(スパイ、エージェント、フリーメイソン)が少々煽情的ですが、十分一読に値する労作です。何よりも明治維新を日本を取り巻く欧米列強の視点から捉え直す必要があることを強烈に教えてくれます。

確かに従来の幕末史は志士の活躍、幕府の対応を国際的な関連において十分解明してはいなかった。全土に漲ったあの攘夷思想は、英米仏の下関・薩摩砲撃で吹っ飛び、薩長土は一朝にして開国論に転じ列強にすり寄る。若い指導者予備群は競ってグラバーの支援で欧州留学へ。列強の艦隊が本邦沿岸を巡行し睨みを利かせる状況下、幕府も反幕派もどれ程英国の意向を気にしつつ動いているか、サトウの日記(「遠い崖」萩原延壽著)を読めば明白だ。一介の郷士あがりの龍馬が、各藩の指導者と渡り合い、薩長同盟,薩土同盟を実現していく活躍は、彼がグラバーのエージェントで、密かに英国の支援を受けていた、と考えねば理解できない。

著者はこれら一切の背後にフリーメイソンの人脈があったとしますが、本書でこれほど多くの例証を突きつけられれば読者も承服されざるを得ない。

英国は例によって2重のスタンスを取る。パークスは中立、一方でサトウは武力倒幕派を支援。龍馬が大政奉還のアイデアを後藤に提示した時点で彼は、武力倒幕派(サトウを含む)の障害となり暗殺されます。第9章「龍馬、孤立無援」は興味津々です。



 

【坂本龍馬】RYOMASAKAMOTO.com お~い!竜馬(竜馬暗殺)



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