不貞の季節 [VHS]
SMの重鎮、団鬼六の自伝的作品。勿論、SM場面もあるが、主人公の自省的な語りがなかなか愉快。主人公は、元々純文学志向の作家い。エロスの世界を極めようとエログロ作家と呼ばれ始めるがそれと比例して収入も増加する。ところが問題は家人である。作品を書くために家でモデルを呼び緊縛しスケッチなどするが、家人は当然面白くない。夕飯を食べながらエログロ、変態と罵る。遂には寝室に鍵をかけられる。そうこうしているうちに家人は、主人公の助手を誘惑している。助手にそのやり取りを聞きながら、悶え苦しみ作品をものにしてゆく。あの団鬼六が、と思ってみると楽しめると思う。創作の裏に人に言えない苦労が潜んでいるのだと思う。ちょっとこぼしてみた、という作りが作品を落とさずにすんでいると思う。主人公に扮した大杉漣ははまり役。谷崎風とも言えるか。団鬼六の人となりに関心のある方にはお勧め。
雷桜 ブルーレイ [Blu-ray]
本作はおとぎ話(ファンタジー)です。それを成立させるには、ありえない『嘘』の部分以外のディテールをしっかりして、こんな物語りもあるかもしれないと思わせなきゃダメでしょう。まず大前提として、殿である斉道が、家臣もつけずに一人で山奥に入ることからクリアーしなきゃね。
それに脚本、演出以前にキャラクター造形が酷い。特に、時任三郎演じる育ての親のキャラ造形が酷い。暗殺のプロは「密命」ためには、実の娘だろうが切り棄てますよ。しかも相手は将軍の息子。生半可な暗殺ではないのに。彼が組織を裏切ってまで子供を生かし育てる動機が弱すぎる。
こうしたディティールが甘いから二人の置かれた厳しい設定が生かされず、あり得ない関係の恋愛劇が成立していない。
また、テーマが恋愛なのか親子関係なのか主従関係なのか、欲張りすぎてまとまりがない印象も受けます。
お屋敷で飼育されていた鷹の目から見た、山間の風景はスピードとその広がりの映像にはハッとさせられるものがあったけれど、雷桜の映像は美しいのは間違いないけれど、いかにもCGですと思わせるもので、花びらが散るシーンなんかやりすぎで、興ざめします。
殿様の子供時代のトラウマなんて、かつてのTV時代劇では決して描かれなかったことだし、原作小説はもっと掘り下げた二人の性格描写もあったかもしれませんが、そのあたりには迫り切れなかった感じ。二人の絆の象徴となるものも、どのポイントにしたいかハッキリしない。
ただ、蒼井優は、『天狗』と呼ばれるようなワイルドな役柄で頑張っていましたね。大声を張り上げるのもさることながら、馬の乗りこなしも上手かったです。
まぁ、蒼井優の熱演や、岡田将生のイケメンぶりは充分楽しめるので、ファンなら許せるでしょう。(笑)
人間の屑 [VHS]
途中まで小説を読んでから見たが小説を読んでない部分は良くわからなかった。しかしわかるとかわからないとかいう問題でなくこの疾走感とわけのわからなさが良かった。佐伯ひなこは適役すぎるほどぴったり。 原作にでてくる特異な外観の店を忠実に再現して欲しかったが。テンション低いときに見るもんじゃないかな
SWITCH 25周年特別編集号 特集:井上雄彦
Switch,25年を記念した一冊. 主に,井上雄彦先生の,最後のマンガ展,仙台最終重版を特集. 最終となる仙台会場を歩いての,井上先生の感想が読めます. そして,最後のマンガ展,上野,熊本,大阪,仙台,それぞれの展示ポスターを収録. 仙台版の展示ポスターは,折りたたみ形式になっており,横長で,海を背景にした,少年の武蔵の迫力が圧巻な作品!! 最後のマンガ展と平行し,仙台で開催された,バガボンドのアシスタント体験が出来る,ワークショップの記録も掲載. 小中学生が描いた,十人十色のバガボンドの完成原稿が,感想文と共に見れます. 更に,仙台会場入口に井上先生が描いた,巨大壁画のメイキング映像を,本誌連動として,完全無料で“Switch App(スイッチアプリ)"にて公開!! 巨大壁画の制作過程を追った“THE MAKING OF 井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版"が,iPhoneとiPadで観れます. バガボンドファンは,是非,鑑賞してみて下さい!! 仙台最終重版に行った方も,行けなかった方も,この一冊は必見です!!
儲かる会社のモノづくり マーケティング 売るしくみ
どうもこの本は「生産管理の本」なのか「マーケティング」の本なのか「セールス」の本なのか、ということで、書店の店員さんにとっても置き場に困るようです。(実際はマーケティングのコーナーに置かれていることが多い)
ところでTOCには「将来にわたって儲け続ける」という標語があります。
そしてそのために
「何を変えるか」「何に変えるか」「どのようにして変えるのか」
というアプローチを実行するのですが、本書は特に「どのように」という部分について、著者の村上氏のこれまでのコンサルティング活動の実績・事例をふまえて多く紹介されています。
「B to B」の製造業が事例となっていることや、製造・サプライチェーン・マーケティング・セールスとわずか220ページにもかかわらず幅広く網羅されているので、「どこか役立つところはないか?」とか「手っ取り早く儲けたい」いう“部分最適”な読み方ではつかみ所のないという印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし全て読み終わると、内部のパフォーマンス(スループット)を高めると共に柔軟性をコントロールできるようにし、そのパフォーマンスが最大限生きる「断れないオファー」や市場を創り出し、顧客が買いたくなる「セールスのしくみ」という筋が一本ビシッ!と通っていない限り、「儲け続ける」ことはできないのだと気づかされます。
特にマーケティングやセールスの現場においては、市場は「あるかないか」の二元論に陥りがちで、それが製造やサプライチェーンに悪影響をもたらしがちなのですが、本書は「自社にとって都合のいい市場」をどうセグメントするか、という視点で考えるきっかけとなると思います。