町長襲撃―産廃とテロに揺れた町
「市民」や行政の動きをしっかり書いてある。市民の努力や県のDQNな対応などはよくわかった。
しかし本書を「市民」の出す本と違う点を上げるとすれば産廃業者の言い分が入っていることだろう。ゴミを捨てるのであれば誰かが処分しなければならない。だから「悪貨が良貨を駆逐する」状況の中で奮闘する業者にはエールを送りたい。書いてある通りだったらね。
悪貨に舐められない行政というのを期待したいが・・・
襲われて―産廃の闇、自治の光
なにしろ、まずは突然襲われ瀕死の重傷から始まる。もう最初から息もつかせぬ展開で、ため息まじりに一気に読み進んでしまった。ちょっと不謹慎だが、うごめくフィクサーやエージェントのエピソードなどは オ モ シ ロ す ぎ る。
ところが、決しておどろおどろしい本ではない。重苦しい告発の書でもない。何しろ、柳川氏は地縁があっただけで、何も知らずに町長にかつがれた元NHK記者の落下傘インテリに過ぎなかった。実に淡々とした筆致で、文章も読みやすい。
いらぬ説明は省く。とにかく盛りだくさんだ。
産廃という迷惑事業を取り巻く政治、行政、闇社会との結びつきだけではない。霞ヶ関、県、市町村という重層構造の度し難い封建制や、ジャーナリズムの正体、「委員会」「諮問会議」に跋扈する御用学者などなど、長年の体制に巣くった根の深さ。ひとつひとつに現実の重みがある。
政権交代のいま、いわゆる改革やチェンジがそう簡単ではないことを実感する。
とにかく読んでいただきたい。