ミレニアムゴジラベスト/伊福部昭 東宝特撮映画傑作集
「最新デジタルリマスタリングテクノロジーで甦る伊福部サウンド」というキャッチに偽りはない。今までとは次元の異なるクリアな音質で伊福部節が楽しめる。ただし、あくまで当時の音源をデジタル処理しているので、ダイナミックレンジの広い現代的な音ではない。それでも、第1曲目の冒頭、ゴジラの咆哮を聴いたとたん、ぞくぞくするような快感を覚える。東宝特撮と伊福部ファンにはたまらない一枚。
巨人ゴーレム 新訳版 [DVD]
言わずもがなのドイツ表現主義映画の傑作。
同じ監督による「ゴーレム」は実は三部作なのだが、第二次大戦の戦火で焼失し、現在残っているのはこれ一作だそうだ。
最初の作品のタイトルはそのものずばりの「ゴーレム」で、これは資料によると、1914年の制作らしい。
続く第二作目のタイトルが「ゴーレムとダンサー」でこちらは3年後の1917年の制作となっている。
三部作の最後を飾る本作「巨人ゴーレム」は1920年の作品ということだから、同じ監督によって3度、しかも3年おきに制作されたことになる。よほどゴーレム好きの監督なのだろうか?
いずれも映画草創期のサイレントだが、表現は圧倒的で特に後半のクライマックスの迫力には驚かされる。トーキーになってから後に、ジュリアン・デュビビエによってリメイクもされている。
映画ファン必見の一本です。
批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)
おそらく絶版になってしまっている川口喬一氏の「小説の解釈戦略」は「嵐が丘」を取り上げ,様々な批評理論の立場から多様なテキストの読みを示していた。とてもスリリングでエキサイティングな本であった。本書は取り上げたテキストは異なるものの,その延長線上にある書であろうと考え入手した。本書は2部構成になっており,1部はテキストの読み方の基礎となる部分を平易に示している。2部は川口氏の著書と同様に様々な批評理論の立場から多様なテキストの読みを示している。こちらもより平易でわかりやすい。平易でわかりやすいという分物足りないところがないとは言えないが,大学などで文学等を学んだことがない人には,あるテキストが(といってもすべてのテキストとは限らないが)いかに豊かな読みが可能なものかを知るには最適の書であると考えて良いだろう。ここで取り上げられている「フランケンシュタイン」を事前に読む必要はない。後で読んでもよいし,読まずに,いま手元にある本を視点を変えながら読んでも良い。一つのテキストが「筆者」によって固定された意味しか伝えられないものではないことを理解し,豊かな読みにつなげるのに役立つ一冊であろう。私は,特に,高校生に読んで欲しいと思う。私は高校時代国語の授業はおもしろくなかった。教科書はおもしろかったが,その内容のおもしろさがどこから来るのか担当の教師は示せなかった。高校で国語の授業を学ぶよりも,この一冊の本を読んで,それを素にたくさんの本を読むことのほうが豊かな読書経験につながるのではないかと思うのは私の偏見だろうか。(きっと私が不幸な高校時代の国語の授業を経験したせいだろう。)
フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))
「人間は科学を通じてどこまで神の領域に近づけるのか?
そしてその科学の進歩は人間にとって幸福をもたらすのか?」
この小説は現代人に対してこの命題を突きつけているのではないだろうか?
生命の創造という神の摂理に反するともいえる所業に成功したフランケンシュタイン。しかし成功と引き換えにどうしようもない破滅に向かっていく。
現代科学においてはDNAの組み替え、クローン生物の創造といった事はもはや不可能ではない。しかしそれによる弊害も既に出てきている。
19世紀に書かれた小説ではあるが21世紀を生きる我々が真剣に考えるべきテーマを暗示してくれている小説である。
「フランシュタイン」を単なるホラー物、恐怖物だと思っている方には是非おすすめ。
ちなみにロバート・デ・ニーロが怪物役を演じている映画も秀逸。
吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)
訳者の平井呈一さんが日本に紹介したこの作品。
文体が古いと感じる方もいるでしょうが、
やはり黄金期のイギリスの怪奇小説は
平井さんの翻訳にかなうものはありません。
是非この版で読んで欲しいし、
創元社さんにも改訳しては欲しくない、
というのがオールドファンの胸中です。
「今さらドラキュラなんて・・・」と
思ってる方も一度読んで欲しい!!
100年以上前の小説なのに、まわりくどさ、
退屈さがほとんど感じられません。
スティーブン・キングしか読んだことのない
ホラーファンが、古典に入る絶好の入り口
じゃないでしょうか?
ワクワクドキドキ、子供の頃に
戻った気分になれて、しかも
大人の読書にも耐えうる、素晴らしい古典ですね!!