桜の森の満開の下 [DVD]
旅人を襲った山賊は女を手に入れるが、その美しさに魅せられ女を満足させるため無理して都会に住んだり、人を殺して切り落とした首をあたえたりすようになる。最初は力と暴力で自分の物にするつもりだったのに、女のペースにはめられ抜け出せなくなり、哀れな最後を迎える事となる。これは時代劇とは全く違う、独特な感性の世界で岩下志麻演じる女が本当に人間なのか、いつの時代でドコの話なのか全然分からないし(知っても意味無いし元々設定もないだろう)あまりに現実味が無く誰かの妄想を覗いているような不思議な気分です。”桜の下には死体が埋まってる”とか”人を狂わせる”とかダークなイメージもある桜を使って、狂気の世界を表現するラストあたりになるともうすっかり訳分かんなくなってて、でもそれでいい、何かハッキリした答えなんかなくてもいいや、って気になります。
堕落論 (新潮文庫)
人間の生、そのありさまや営みが善きものであろうと悪しきものであろうと、そのまま丸ごと肯定し、さらに「よりよく生きよ、もっと苦しめ」と前向きに歩むことを、あるときは厳しく、あるときはユーモラスに説き続けた坂口安吾。彼は時代を超えて今でも私たちを励ましてくれる永遠の無頼派だ。そんな安吾の入門編が本書である。本書は代表的な珠玉のエッセイと、やはり代表的なふたつの短編小説から成っている。また、巻頭には彼の足跡をたどる写真、巻末には用語解説と彼の年表がついていて、まさに入門者にはこの値段にしては至れり尽くせりである。どの作品から読み始めてもかまわない。ほんの一言でも安吾の残した言葉が身にしみて感じられるようなら、たとえば「自殺なんてだれでもできることなん」やらなくなること請け合いである。
若い人にぜひ勧めたい一冊。
白痴 [DVD]
とてもいい映画だと思いました。
雰囲気や色使いが綺麗だし、話がなんとも表現しがたい・・・
「作品」として本当に感動しました。
ところどころのCGが現在の技術があったら・・・と見て思ってしまう2005年現在ですが(汗)
難しい言葉を聞き流してしまったので、是非原作も読んで深く知りたくなりました。
堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫)
安吾のエッセイ集の決定版です。
小説家に贈るべき賛辞ではないかもしれませんが、安吾はやはり随想が面白いです。
しかしその面白さは、あくまで『小説家の書くエッセイ』のものである為、
安吾が小説家向きでなかったことにはなりません。
小説家でなかったら、こんなに面白い随想は書けなかったでしょう。
一言で言うと安吾の随想は、
『小説家自身の手による、小説のネタばらし』なのです。
これは外部から批評するだけの批評家には決して書けないことです。
小説家としてそれをやってしまっていいのかよ、と突っ込みたくもなりますが……(笑)
『堕落論』『続堕落論』における、
心の弱さを補う道徳・倫理を他人に求めず、自分自身に求める決意、
また虚妄を打ち破る為なら淪落を厭わぬ決意、
『日本文化私観』における機能主義、『デカダン文学論』における壮絶な漱石批判、
『不良少年とキリスト』における太宰治への愛情など、どれも痛快です。
エッセイ全体を通底する志賀直哉嫌いにも注目です(笑)
また、小説『女体(桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)収録)』の創作日記である『戯作者文学論』からは、
実際の安吾の創作過程が読み取れ、興味深いです。
この本で興味を深めた方は、
講談社学芸文庫から出ている2冊のエッセイ選集にも手を出されると良いでしょう。
目次
『ピエロ伝道者』
『FARCEに就て』
『ドストエフスキーとバルザック』
『意欲的創作文章の形式と方法』
『枯淡の風格を排す』
『文章の一形式』
『茶番に寄せて』
『文字と速力と文学』
『文学のふるさと』
『日本文化私観』
『青春論』
『愕堂小論』
『堕落論』
『堕落論〔続堕落論〕』
『武者ぶるい論』※
『デカダン文学論』
『インチキ文学ボクメツ雑談』※
『戯作者文学論』
『余はベンメイす』
『恋愛論』
『悪妻論』
『教祖の文学』
『不良少年とキリスト』
『百万人の文学』
※全集未収録。本書でしか読めません。
カンゾー先生 [DVD]
戦時中ながら自分の信念に基づき、軍に逆らうことも辞さない町医者・赤城。
敗戦に向かって突き進む日本と暑い夏のせいで周りの人間は次々と狂っていく、一般の国民も病気で倒れる。
そんな状況でも冷静かつ精力的にやれることをやる赤城の男気に感服する。
また、そんな赤城に心底惚れてついていくソノ子の姿もいい。
日本映画を引っ張っていく若手女優麻生久美子と伊藤歩が共演している。