マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)
貧乏球団のアスレチックスが強豪の座に座り続けるのは何故か?
本書は、斬新な切り口のデータ分析に基づく科学的アプローチを駆使する球団フロント(ゼネラルマネージャー)に密着したドキュメントです。
日本では野村ID野球が有名ですが、その更に上を行くデータ主義。お国柄やベースボールの成熟度に違いもあるのでしょうが、日本で同じアプローチをする球団をみてみたい気がします(果たしてその球団はどんな結果になるのか?)。
その一方で、やっぱり野球には人間的な側面(「チャンスに強い」とか)があるから面白いんだよなぁ、と野球の面白さを再認識させられます。
ところで、私は本書をビジネス書として読めませんでした。この本のどこから何をビジネスに役立てられるのか。
例えば、第9章「トレードのからくり」などは、メジャーのフロントがどのような駆け引きをしているのか、ハラハラしながら読むことができます。ごくごくシンプルに娯楽作品として楽しんだほうが本書の良さが感じられるはず。野球を好きな人は必読の書です。
マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男
ある雑誌の書評で、野球本としてもビジネス書としてもお勧めとされていた。そこで早速、ページをめくると面白い。
ビジネスの観点から見ると、世の中で常識として使われている「指標」、それが次の行動を考えていくうえで正しい指標なのか、そうではないのか、我々は無意識のうちに指標が正しいものとして判断してしまう。しかし、本書の中で記されているようによく使われている指標(例えば打点や打率)が正しい指標とは限らないのだ。そのことを野球という例ですっきりと伝えてくれている。データを扱うビジネス・パーソンにとってもお勧めの一冊である。