御社の特許戦略がダメな理由
わたしは「特許」はおろか、「知的財産」と言われても全くピンと来ない、普通のサラリーマンなのですが、仕事柄、中国との取引をしている関係で興味があり、この本を読んでみました。
今、あちらでは日本に溢れている「技術」、特に特許対策をしていない中小企業に対して、宝の山のように思われているとの事。
この本を読むと、単に「特許を申請・取得したから安心!」ってわけじゃない事も初めて知って興味深かったです。
また、思いのほか特許の話というより、わたしのような営業や管理など、どの部署にも通づる組織マネージメントの話などもああり、これまた面白かったと思います。
眠くならずに一気に読める本といったところでしょうか。
組織デザイン (日経文庫)
一橋大学の先生がまとめた組織デザインの本
すばらしいです。2004年に書かれた本で少し古いところが
出るかと思っていたのですがしっかりとした体系を基に論を
展開しているのでとてもわかりやすく、かつ納得感が高い本です。
まずは、学者らしく、組織デザインとは何かを定義した上で
組織形態の基本形を述べています。組織とは分業であるとの
観点から分業の方式についてどのような分業タイプがあるのか
そしてそれぞれの分業タイプの特徴とデメリットをまとめて
適切な分業のありかたを模索できるようになっています。
また組織を考える上での必要な考え、作業の標準化
、そして処理プロセスについてまとめています。
その上で組織設計、つまりヒエラルキーのデザイン・そして
水平関係のデザインを述べています。
何がすばらしいかというと、組織デザインについて限界は何なのか
どこまでデザインできて、範疇でないものが何かがわかりやすい点だと
私は考えました。
組織についてどう考えるかがよくわかる本で是非読んで理解すべき
本だと思います。
技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由
著者は、日本弁理士会が主催する知財ビジネスアカデミーで知財コンサルティングの科目を担当されています。私(弁理士です)も同科目を受講したことがありますが、斬新な視点から目から鱗の分析や解釈をされ、その発想の豊かさに驚嘆しました。知的財産業界には、著者を信奉するビジネスマンや専門家(通称:妹尾信者)が多数います。
その先生が満を持して執筆されたとのことで、興味深く読ませていただきました。期待どおり斬新な切り口でビジネスと知財戦略のあり方を論じられていて、実務的に多くの参考となる考え方を吸収することができ、得にした気分になりました。
一方、本書では、専門的な知財制度の解説はあまり触れられていません。知財制度の解説書は、巷に溢れていますから、本書ではあえて割愛したのでしょう。それでも397ページのボリュームがあり、内容は盛りだくさんです。文章は平易で読みやすく、事例が豊富なため、知的財産の専門知識がなくても、興味をもって読み進めることができると思います。そういった意味では、一般のビジネスマンや経済・経営系の学生を読者層に設定して執筆されているようです。