吉本ばなな自選選集〈3〉Deathデス
いろいろな形で表された主人公と死のかかわり方。みんな不器用に、回り道をしながら段々死と向かい合っていく。一つ一つの話がすべて繊細で切ない。読み進めるうちに主人公と共感していき、主人公が死を乗り越えたとき自分の死に対する考えが変化していくのがわかる。愛すべき登場人物に心を打たれ、主人公のひたむきさに目頭が熱くなるそんな作品です。
私が最も好きなのはキッチンという作品。もともと父だったという母を持つ雄一と、身内が誰もいなくなった主人公みかげに、突っ走らずにはいられない恋と淡く悲しい死をからめた透明なおはなしです。是非読んでみてください。
誰の側にもあるDeath、それとどう関わっていくかはあなた次第です。
ムーンライト・シャドウ
「日英バイリンガル」シリーズの一冊。横組み日本語の原文のあいだに、青色の小さめの活字で英訳が印刷されています。原マスミさんのイラスト(ストーリー説明イラストではなく「イメージ・イラスト」とでもいうべき雰囲気)もふんだんに挿入されています。イラストといい、装丁といい、紙の質といい、「ムーンライト・シャドウ」という作品への掛け値なしの愛情が伝わってくる本です。
英訳について。アメリカで以前出版されていた英訳は、どちらかといえば原文の大まかな内容を英語にする、という感じでしたが、今度の英訳は、原文と並べて読まれることを意識したためもあるのでしょう、原文に忠実です。これも原作への愛情に満ちたお仕事だと思います。
『ムーンライト・シャドウ』については、これまでに英訳・独訳・仏訳を見ました。そのなかでは、日本人が翻訳作業に加わった仏語訳が日本語原文に食いついて原文の細かなニュアンスもなんとか翻訳しようという強固な意志を感じさせました。しかし、今回の新しい英訳はその仏訳の水準をも抜いているのでは、とさえ思います。
ばななさんのあとがきより。
「この小説は、私がはじめて友達以外の人に読ませることを意識して、二十二歳の時に書いたものです。この中には後の私の書くべきことの要素がみんな入っている気がします。大切な作品です。」
一読者として、ばななさんのこの言葉、分かるような気がします。私も大好きな作品です。
キッチン (角川文庫)
時々、心がどん底に陥ることがよくある私。そんな時は必ず、まずこの本を読みます。内容、ストーリー云々ではなく、私にとってはこの作品の中に居る空気(・・・雰囲気でしょうか)と、幾つかの言葉がものすごく大切で、重要なんです。中でも一番心に響くのは「キッチン」のラスト、おかまのえり子さんの言葉。「一遍絶望してみないと、自分が何を大切にしてるか分からないままになっちゃう」という意味の台詞。これを読むたびに、また歩き出せる気がするのです。絶望するのも、失敗じゃあないんだな。
イマージュ3 [トロワ]
今までの イマージュシリーズもずっと購入していました。が、さすが3作目
ということで趣向を凝らしてきたな!と、感じるものがあります。
その一つに歌が入っているものもありました。
それから、全体的にはCM等で聴いたことのある曲が多いという点では今までと同じですが、毎回こんなにも音楽の種類=クラシック~ポピュラーまで=が違うものが構成されていて飽きが来ないですよね。
きっと、なんとなく聴いたことのある曲が多いからなんでしょうね。
私は通勤で車の中で聴くことが多いですが、イヤな事があった時もなんとなく心落ち着いちゃいます。私だけでしょうか??