東京島 [DVD]
 原作を読んでないので比べようもないですが、映画版『東京島』については、一種のブラックコメディー作品と呼べるのではないでしょうか。(メインテーマはもちろん“女性”という生き物について。)
 孤島での逆ハーレム状態という妖しい設定からして、性的要素の欠かせない作品ではありますが、直接的なセックス描写はほとんどなしなので、あしからず。そのかわりに、映画全編に漂う微妙なエロティシズムを楽しんでください。
 
 キャスト的にはやはり、主役の40女をまさしく等身大で演じた、木村多江が素晴らしい。彼女がサバイバルをする上で見せる、女のたくましさ、浅ましさ、ずるがしこさなど、非常に興味深く見させてもらいました。汚れメイクなど施して、はっきり言って汚れ役の中年女の役なのですが、それでも可愛らしさもセクシーさも感じさせてくれるのだから、たいしたものです。
 島の男たちが全員、自分を欲しがっていると知ったあと、陰で幸せそうに微笑む彼女のシーンが、個人的には一番好きですね。女性の可愛らしさと恐ろしさが同時に感じられて、ゾッとさせられるような、稀有な名場面だと思います。
 
 さて結局、彼女にとっての“ハッピーエンド”とは何だったんでしょうね?
 「女の幸せに、男は必要ない」ってことでしょうか(笑)。

 

OUT [DVD]
風呂場で主婦らが死体を包丁でバラバラにしてしまうのだから、正視に堪えるものではないはず。首を断ち切られた死体が転がっていたり、バラバラにした手や足をポリ袋に包んでダンボールに詰めてたりするのだから、凶悪そのものです。それなのについニヤニヤとして観てしまう。凶悪犯罪を犯しているはずの主婦たちがあまりに平凡で、そのうろたえっぷりが可笑しいのです。また、慣れてきた主婦たちが機械的に、まるで弁当屋での仕事のように手際よく死体のパーツをダンボールに詰めていく「作業」をしながら談笑するさまが、どこかズレていて可笑しい。そんな可笑しさを支えているのが、主婦たちを演じた原田美枝子や倍賞美津子、室井滋といった芸達者な女優たち。なかでも原田美枝子はさすがです。いまや誰もが認める大女優だが、やはりこの人の演技力はずば抜けている。

 意外だったのが、香川照之。竹中直人ばりの迫力演技では存在感がある役者だとは思っていたが、さほど幅のある演技ができる役者というイメージはなかったので、この作品での抑えた演技での存在感には驚かされました。

 重いテーマを娯楽作として描きながら、上質の人生賛歌に仕立て上げる平山監督には拍手を送りたい。そして、原田美枝子と倍賞美津子の水着姿には、★5個をあげたいところです。


 

OUT~妻たちの犯罪~ 4巻セット [VHS]
タイトルにあるとおり、妻たちの犯罪についてのお話です。暗くなりがち、且つ、現実離れしがちなこの話を、「自分にも起こり得るかも」と視聴者に思わせることに成功したのは、主演が田中美佐子さんだったからだと思います。田中美佐子さんはきれいな人ですが、身近にいそうな人であるため(実際にはそうはいませんが)親近感を抱くことができ、また、芸達者な方であるため、「そんな事あるわけないじゃん」と思うことなく、この話に没頭することができました。

この日本で女性が生きている間に、ぶつかってしまうたくさんの壁があると思います。この話の中には色々な壁にぶち当たってしまった女性が登場します。仕事で男女の壁にぶつって砕け散り、そして家族は崩壊の危機にある主人公。同じ男女の壁にちょうどぶつかろうとしている女刑事。夫を亡くし、寝たきりで口うるさい姑を看護する女性。ブランド中毒で、消費者金融に手を出し、同棲相手から逃げられてしまった女性。ギャンブルに浪費する夫を持つ女性。これらの女性はみんな普通の人で、みんな普通に幸せになりたいと思っているだけです。でも、幸せは手に入るかに見えても結局はするりと逃げて行ってしまう。結局走り続けるしかない、というのがこの話の結論です。

OUTを観て、みんな「普通」に生きているけど、誰でもちょっとしたことで一線を越えてしまう可能性はあるし、自分の幸せのためには人の死をも願う「化け物」になってしまう可能性もあるのかなと思いました。

色々なことを考えさせるお話で、娯楽にはならないと思いますが、でも観てよかったと思える内容でした。最後に1つ。血みどろのシーンは全く出てこないので、そういうのが苦手な方も安心してみることができます。でも、自分の心の中にもいるかもしれない「化け物」の存在を考えさせられることの方が、怖いと言えば怖いかもしれませんね。


 

東京島 (新潮文庫)
映画のCMで面白そうだなと読んでみました。
最初は「おお〜」と設定と走り出しに好感。
これは最後まで一気に読んじゃいそうとワクワクしながら読み進めましたが、ずいぶんと前半で失速。
島人の誰にも共感できなくて、パラパラとページをめくる「作業」になってしまいました。
でも読まない!と放り出すことはなかったので、そこはギリギリ☆三つです。
なんだかな〜…
あんな状況になったら、もっと人間ってドロドロになるんじゃないかな〜、薄いな〜と思いました。
共感できす、うん。

 

グロテスク〈上〉 (文春文庫)
作中に何度か「悪意がほとばしった顔」という言葉が出てくるのだが、この作品を一言で言い表すと「悪意のほとばしった小説」ということになるのだろうか。

著者に名前さえ与えられていない、語り手の“わたし”をはじめ、中心となる4人の女性の手記、手紙、日記、会話、どれもが自己中心的であり、その内容は、齋藤美奈子氏が書いているように「陰口」「つげ口」「悪口」ばかりである。しかも、それが「ですます調」で書かれているので、小説全体が異様な雰囲気となっている。

読むのが止まらない。ではなく、止めるに止めれない。そんな小説である。

著者は、この作品で読者の共感を得たいなど考えてもいないであろう。逆に拒絶されたい、あるいは置き去りにしても構わないと考えながら筆を進めたのでは、と思ってしまうほどである。

人間の心に潜む闇をこれだけ描くことのできる作家は、著者のほかに日本にどのくらい存在するのだろうか。

凄い小説を読んでしまった。そんな感じの読後感であった。

 

グロテスク〈下〉 (文春文庫)
イタイ女性ってどういう人と思いますか?
場の空気が読めないとか、女を捨てているとか、過剰に上昇志向があるとか、醜くなった元美人とか。
「あの人ってイタイよねー。」
って言っていると、自分が安全圏の中にいられている実感が持てて安心したりしませんか?
円山町でのOL殺人事件をもとに著された本小説は、イタイ女性が満載です。
4人の女性と一人の容疑者の密入国男性の青年期の壊れが描かれています。
桐野夏生は女性たちのイタさの元を、過酷なヒエラルキー社会であるQ女子高と家族たちに示します。
そして、救いようがなく自己同一性をヒエラルキーの中に据えてしまうことの行く末を、容赦なく暴きます。
ほどほどで満足できる人は幸いで、そうでない人は強固な鎧を自己破壊のためにまといます(矛盾した表現ですが、本書の中では鎧は自己を保たないための役割を果たします)。
その怪物ぶりを楽しめたら、本書を楽しく読めます。
その怪物ぶりを全く他人のものと読めると、爽快な異形のホラーとしてさっぱりと読み終えることが出来るでしょう。
でも、自分も多かれ少なかれイタイなと感じつつある三十路女には、もうちょっと救いのある形の話にしてくれていたらなぁと心が少しくらーくなってしまいました。
なにはともあれ、Q女子高のリトミック体操の表現は、上手い、上手すぎるよ、桐野夏生。

 

木村多江「すいません、リハーサルで叩いちゃいました」と窪塚に謝罪


無人島に漂着した23人の若い男たちと、たった1人の女のサバイバルを描いた『東京島』。桐野夏生のベストセラー小説をもとにしたこの映画が、8月28日より公開となり、新宿バルト9で初日舞台挨拶が行われた。 (つづきはこちら) www.moviecollection.jp

【読みたい】「優しいおとな」(桐野夏生/中央公論新社) [ISBN:9784120041501] #AppToshokanBiyori


桐野夏生「優しいおとな」なう。 #bookjp #dokusyo


!∑(゚Д゚;)眼が良くなりたい。@komatta22232223 塩野七生?言われてみれば4文字中2文字かぶりか。 RT @helljigoku: #BookSpy 朝の京王線、あまりパッとしないネガネっ子20代女子、桐野夏生「ハンニバル戦記」。


桐野夏生 動画


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