![]() うぐいす~ 米良美一 日本を歌う |
スウェーデンで録音され、BISから全世界に発売されたものの逆輸入したCDです。米良美一が1997年に「もののけ姫」を吹きこんだ頃の録音で、声の調子が一番よかった頃ですね。
この演奏を聴いていると「世界を代表するカウンターテナー」という評も当てはまると思います。得がたい声質なので、是非これらの作品を越える歌唱を再び披露してほしいものです。 アルバムタイトルになった早坂文雄作曲の「うぐいす」の歌唱にはビックリしました。邦楽特有のポルタメントを伴った旋律が、日本情緒を感じさせますし、世界に誇れる日本固有の音楽文化の一面を表わしている作品だと思います。難曲ですが、米良美一はコンクール入賞実績にあるような巧みな歌唱技術を用いながら上手く表現していると思いました。 山田耕筰作曲の「曼珠沙華」での米良美一の表現力の確かさは、少し聴けば分かります。「カウンターテナー」という「妖艶な」というべき魅力ある声質ですので、北原白秋の描いた不思議な世界を歌うのには適役ですね。 深井史郎作曲の『日本の笛』の3曲は、「日本」というものを意識した曲想を持った楽曲でした。珍しい作品集ですので、あまり聴く機会もないと思いますが、このような作品を取り上げた米良の選曲眼もまた確かなものだったといえるでしょう。 尺八のような音色のフルート、五月雨のような音型をもつたピアノの伴奏が不思議な世界を作り上げていました。 一聴に値します。 |
![]() しかし それだけではない。/加藤周一 幽霊と語る [DVD] |
本作品は、戦争とは、平和とは、強制とは、不平等とは何かと、鬼籍に入られた晩年の加藤周一氏の私たちへの言葉が映像化されています。生とその先の死を予感させるような、草葉、土、壁などを背景にし、加藤氏はカメラに語りかけます。その言葉は、君たちはこれからどう生きるのか?という、この平成の世に生きるわたしたち日本人への遺言です。
この映像を見た各人各人が、その残された言葉の意味を考えることを加藤氏は希望しています。個人的には、映画全体の流れやバックの音楽がかなり陰気で、まるで葬儀のような感じなので星を一つ減らしました。しかしながら、この暗い流れも監督や制作者の本作品に対する解答なのでしょう。もしかすると、ほんとうに葬儀として作品を残したのかもしれません。 DVDは、音声がやや聞き取りにくいために日本語字幕のオンオフがあって親切仕様です。またDVD付属の解説が冊子になっていて、本作品や加藤氏についてくわしく説明されています。本作品は、加藤氏の死の直前まで変らなかった生き方を描き、そして「幽霊と語る」とは何か、まさに故人となられた加藤氏が我々に問いかけてきます。 |
![]() 日本 その心とかたち 加藤周一 [DVD] |
・・・苦節17年?!
というのは大げさですが、 ついに!! 「日本 その心とかたち」DVD7巻セットが発売。 加藤周一さんが解説者として出演している、 日本の美術史をまとめたNHK教育テレビ番組 (1987年11月〜1988年3月オンエア)のDVDです。 加藤周一さんをあまりご存知ない方には、 ジブリの高畑勲・宮崎駿両監督が、過去に大きな興味を持って視聴し、 深い感銘を受けたという価値ある映像を「ジブリ学術ライブラリー」 シリーズとして復刊されたものの第4弾になります。 高畑勲・宮崎駿の両監督には本当に感謝、感謝です。 お二人にDVD化していただけなければ、 もう見ることができなかったか・・と思うと、ありがたい気持ちでいっぱいです。 早速、第1集「はじめに形ありき」を見る。 日本の縄文時代に作られた「火焔型土器」の 世界史から見た位置づけを考察するにあたって、 縄文時代と同じ新石器時代における最も洗練された文化を持った マヤの地に、加藤氏は立つ。 そこで・・・、 「メキシコの ことに、マヤの ことに、ウシュマールの ことに、尼僧院の ことに、東側の建物の いま私が見ているこの建物は、おそらく人類の建築史上、 最高傑作の一つ・・・」 と、畳みかけるような言葉が 一編の詩を聞いているかのごとく 伝わってきます。 また、その論理展開は・・ 歴史にもしもはないが、 このメキシコのマヤのウシュマールの世界で最も美しい建築物を前にすると、 「火焔型土器」のような独自の美しい道具を作り上げた日本の縄文文化をみると、 もし大陸からの圧倒的な影響が弥生時代に入ってこなければ、 縄文文化がどこまで行き着いたかではないけれど、 どこまで行き着いたであろうかを示唆している、 と語る。 これが、 加藤周一の言葉であり、 論理であり 文章だったんだ、 と改めて思いました。 ・・以上のようなぐらい思い入れがないと、 なかなか買えないお値段だ、と思ってもいます。 普及版のような形で出していただけないかな?! |
![]() 「待つ」ということ (角川選書) |
ごくありふれた「待つ」と言う言葉をこの本のお蔭でよく考えるようになりました。この本には「現代は待っていられない時代」と書かれてありましたが、確かにある面ではそうは思います。でも自分の生活を振り返れば待つことばかりです。武蔵のように相手を焦らせる位待たせることは滅多にないが、待たされることは沢山あります。特にカミさんに。私は毎日仕事がカミさんより早く終りカミさんの仕事場まで車で迎えに行っています。家からそんなに遠くはないのですが、カミさんは歩きません。カミさんの仕事が終る前に必ず迎えに行って待っているのです。この時の「待つ」は私に優位性を齎してくれています。又夫婦の繋がりをこの「待つ」が少なからず支えていると思っています。カミさんを家に速く連れて帰る事で今度は私の晩酌の時を待つのです。其の他にも私の生活には「待つ」が沢山あります。皆さんもこの本を読んで「待つ」を考えてみられてはいかがでしょう。 |
![]() 加藤周一のこころを継ぐために (岩波ブックレット) |
9条の会というのがあるのを知りました。
とてもすてきは本です。 |
![]() 羊の歌―わが回想 (岩波新書 青版 689) |
「中肉中背、富まず、貧ならず。言語と知識は、半ば和風に半ば洋風をつき混ぜ、宗教は
神仏のいずれも信ぜず、天下の政事については、みずから青雲の志をいだかず、道徳的 価値については、相対主義をとる。人種的偏見はほとんどない。芸術は大いにこれを たのしむが、みずから画筆に親しみ、奏楽に興ずるには到らない。――こういう日本人が 成りたったのは、どういう条件のもとにおいてであったか。私は例を私自身にとって、 そのことを語ろうとした」。 筆者の語る標準的な日本人像が果たして正確であるか、否か、それははなはだ怪しいし、 時系列を前後させつつ本書で明かされる氏の濃密な来歴が果たして「そのこと」を語るに 適切なものであるかも定かではない。 ただし、単純にテキストとしての完成度や面白みにおいて、この『羊の歌』が 卓抜した一冊であることは疑いを容れない。 「私はそもそものはじめから、生きていたのではなく、眺めていたのだ」。 この一言こそが本書のハイライト。 極めて滑らかに綴られる文章に漂う気品の裏側で、本テキスト全体を貫き続ける 世界と隔絶されたこの感覚。 そうした点において私が連想したのは村上龍『限りなく透明に近いブルー』。 「わが回想」との副題のもと、エッセイの形式を取ってはいるが、孤高を端正に表現した 文体の成熟度たるや、ただただ圧巻の一語。 |
加藤周一氏講演会(4/7)老人と学生の未来-戦争か平和か-
2006年12月8日(金)に東京大学駒場キャンパスで行われた、加藤周一氏の講演会です。 (続きはこちら) 加藤周一氏講演会(5/7)老人と学生の未来-戦争か平和か- jp.youtube.com
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