透光の樹 [DVD]
いきなりDVDを見た方には、秋吉久美子のヌードやら、セックスシーンやら、そんなところばかりに感想がいっているように思えますが、原作を読んでから見ると、結構、ずしんと来るものがあります。年齢を感じさせず、女を演じる秋吉久美子はすごい女優と思いますよ。ただ、相手役の永島敏行は、生真面目な性格がこの物語に登場する郷とは、かけ離れていて、ミスキャストに思えました。かといって、ショーケンが良かったかというと、それもちょっと違う気がします。少し若いけれど、佐藤浩市なんか、はまり役かも。
お金に困って、身体を売るという設定にしては秋吉久美子がきれい過ぎたのかもしれません。物語としては、いい小説なんです。是非、原作も読んでください。

 

きのこ文学名作選
不思議な本だった。主役はきのこ。きのこを題材にした古今の文学作品を集めた本だ。狂言や今昔物語などの古典からいしいしんじまで16編が並ぶ。

うっそうとした薄暗い林間にひっそりと生えるきのこたち。色とりどりに美しいきのこはもしかしたら毒を持っているかも知れず、食べられそうな地味なものでもどことなくあやうさやはかなさを伴っている。この本に登場する作品はそれらきのこの特徴をうまく捉え、ときにはエロティックに、ときには滑稽にきのこを描く。どれも小編でありながら楽しめた。個人的なお勧めは加賀乙彦の「くさびら譚」。

そしてなにより特筆すべきはこの装丁。なんという豪華な本だろう。何ページにも渡って文字のない真っ黒なページが続いているかと思うと、実は少しずつ紙質が変化していて手触りだけがその変化に気づく。ときには本をぐるりとひっくり返さなければ文章が読めなかったり、光にかざしてようやく文字が読み取れる作品もある。ボール紙のような分厚いページが続いたかと思うとわら半紙のようなざらりとした質感のページに変わっている。フォントもレイアウトも統一性がない。けれども楽しい。きのこのように怪しく美しい本の中に入り込むうちに、自分が薄暗い木の下闇のなかできのこにたぶらかされているような気持ちになってくる。

 

透光の樹 (文春文庫)
高樹のぶ子の作品は「波光きらめく果て」を以前読んだが、本作はそれ以来だ。従って、格別彼女のファンではないのだが、この作品は、映画化に関連して萩原健一を取り巻くごたごたがあって、そんなこともあって読むことにしてみた。郷と千桐の関係は「愛」なのかそうでないのか、とにかく曖昧な状態が半分以上続くが、性を通した体の交わりに精神的交歓を見るという意味において、「チャタレイ夫人の恋人」における、メローとコニーの関係によく似ている。性を失った生はもはや生きるに値しないとする郷の態度は、「性とは死におけるまで生を称揚すること」とするバタイユの思想に一脈通ずるものがある。この作品はまた、杉、鍛冶師など、能登の自然と風物に関する話を織り交ぜたひとつの紀行文のような体裁をとっており、その意味で、当初から映像化されることを念頭に話を作ったと思われるようなところがある。様々に繰り出される比喩は若干文脈との関連性が欠如して悪戯に読みにくさだけが高ずるようなところがあるが、お互いの気持ちをはっきりと言わないまま、体を重ねることにより、双方文字通り「献身」の意味を心に刻み込んで行くその生き様は、ある意味極めて日本的なのかも知れない。さすがの一作である。

 

「マイマイ新子と千年の魔法」本予告


楽しくて、切なくて、ちょっとだけ勇気が湧く。 そんな心に残るアニメーション映画が誕生しました。 2009年11月21日(土)心に残るロードショーmai-mai.jp

高樹のぶ子 動画


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