青空の卵 (1) (ウィングス・コミックス)
 まず、藤たまきさんに坂木司さんの「青空の卵」(ひきこもり探偵俺様な鳥井と、そんな鳥井の理解者坂木の人間模様あふれる推理小説)を描いてもらおうとした編集者の方はスゴイと思いました。

 なぜなら藤たまきさんも原作者の坂木司さんの世界観が現実に即していて、そして矛盾するようですが繊細な表現で、愛読者に共感を得ているからです。けれど、鳥井が情緒不安定になってしまうのは、案外あっさり描かれているので拍子抜けする読者の方もいるかもしれません。

■第1章「夏の終わりの三重奏(前編)(後編)」/第2章「秋の足音」1〜6が収録されています。雑誌「WINGS」(新書館/偶数月28日発売)2010年12/28日発売の2月号から、新章「冬の贈りもの」篇がスタートしているそうです。わたしは、単行本買いで新刊がでるコミックがひとつ増えて、とても嬉しい気持ちです。原作のコミック化に関してはそれぞれの読者にイメージがあるので難しいですが、このコラボによって、藤たまきさんと坂木司さんの愛読者が増えると良いなと思っています。

 

動物園の鳥 (創元推理文庫)
ひきこもり探偵・鳥井と友人・坂木、そして彼らを取り巻くあたたかい人たちとの心の交流を描く、ミステリー(?)第3弾。

今までの2巻は、やさしさに焦点が当たっていましたが、この巻は非常に身につまされるような思いを感じました。

人のちょっとした悪意や無関心が時には人を殺すこともあります。癒せない傷を与えることも。自分を振り返ってみても、そうした無自覚な悪意で人を傷つけたこともあるでしょう。

でも、人を傷つけ、自分が傷つくことを恐れて、檻に閉じこもっていては世界は変わらない。美月ちゃんの言葉が頭に残ります。

「だから私、好きな人に好かれるための努力はするけど、そうじゃない人から嫌われるのはちっとも気にしない。ただ、相手の言うことには耳を傾けるようにしてる。もしかしたら、相手が言ってることが合ってるかも知れないし。」

しっかりと自分を持ち、傷つくことを恐れずに。相手を理解しようとする気持ちも忘れずに。たとえ理解し、理解されなくても、コミュニケーションを続けていこう。

今の日本はかつてないほどの競争社会になりつつあります。人を蹴落として「勝ち組」になることがもてはやされています。でも、人が生きていく上で、本当に必要なことは何でしょうか。この本は、そんなことも考えさせてくれます。

人は弱い。だけど少しのやさしさと思いやりをもって相手に接すれば、少しづつ世界は変わっていく。そう信じられる。

ささくれだった心に一服の清涼剤。爽やかな気持ちになれる読後感です。

 

ホテルジューシー (角川文庫)
大家族の長女に生まれた柿生浩美=ヒロちゃんは、直情で有能な働きモノ。
だがこの夏のバイト先、ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違う。
ことごとく自分の常識とかけ離れている人たちの行動に翻弄されていく。

あらゆる意味で「シンデレラ・ティース」と対をなす作品。
ごくごく一般的な大学生の成長物語。
自分が大学生だからか、すごい共感できた。
時間の持て余し具合とか、自分の中の正しいは絶対だ、とか。
そうそう、大学生ってこんな感じです。
狭かった視野が広がり、傲慢さが抜けていく過程がいいなー

主人公と同世代の大学生が読むと、すごく楽しめると思います。

 

青空の卵@勝手に朗読


青空の卵/坂木司

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