Authorized Bootleg: Warfield Theatre, San Francisco 27/02/1989
ネヴィルのライヴ盤が「ヒップ・オー・セレクト」からひっそりと発売。
シールドを開封すると何故かシールでジャケ閉じられているので、カッターを入れジャケを開く。
録音日時と場所は1989.2.27 WARFILD THEATRE(SAN FRANCISCO)。
名作「イエロー・ムーン」発売の直前のライヴ演奏を2枚組で堪能できる超お得盤だ。1曲目「Fire On The Bayou」お〜カッコイイ、ご機嫌のグルーヴを聴かせてくれるネヴィル軍団。ジャケのシールに海賊盤を承認と書いてある(笑)しかし音はすこぶる良い音ですのでご安心。以前発売のティピティーナでのライヴ盤より音は数段良い。7000枚の限定品(しかもあのhip-oselect)なので是非お早めに!
曲目リストは2枚目。
1枚目のリストは、
Disc One
1. Fire On The Bayou
2. Hey Pocky Way
3. Junk Man
4. Mojo Hannah
5. Wake Up
6. VooDoo
7. Yellow Moon
8. Tell It Like It Is
9. Instrumental Jam
The Brothers
ネビルブラザーズは、80年代にローリングストーンズのアメリカツアーの前座に起用されて大衆的に知られるようになったニューオリンズのファンクバンドです。長男のアートはキーボード、二男のアーロンはファルセットボイス、三男のチャールズはサックス、そして四男のシリルはパーカッションという布陣になっています。彼らがそれぞれ自分の生い立ちを語る形式になっているのですが、ニューオリンズの人種差別が想像を絶する物凄さです。女の子と街を歩いているだけで警官に殺されたり、白人の女と一緒にクルマに乗ってるだけで警官に捕まってしまう。彼らの白人社会に対する憎しみは、自分たちの差別の生い立ちの裏返しであることが良く分かります。一方でニューオリンズはアラン・トゥーサン、スヌークス・イーグリン、ドクター・ジョン等がお隣さんの感覚なほど音楽が身近にあるわけです。彼らはすぐに兄弟でグループを結成するわけでなく、音楽をやるためにバラバラにニューオリンズを出ていく。彼らの旅の人生が凄まじい。万引きに喧嘩、その上音楽で稼いだ金を全部クスリに使う、つまりジャンキーの生活を送るわけです。そして女を渡り歩く。そのためにチャールズに至っては刑務所に入れられてしまう。そういう彼らもローリングストーンズのキース・リチャードやリンダ・ロンシュタットとの交友から、アーロンがグラミー賞を取る快挙を成し遂げる。皮肉なことに常に敵対し憎悪していた白人社会に受け入れられることによって、彼らは成功を収めるわけである。この本は私のようにニューオリンズへ3回も行ったニューオリンズの音楽好きには格好の生きた教科書になるし、南部のアフリカンアメリカンの歴史に興味のある人にも面白い読み物であること請合いである。
Yellow Moon
ネヴィル・ブラザーズの最高作の1枚。ダニエル・ラノアのプロデュースで、レゲエ調の曲もカリプソ調の曲さまざまな曲が全て静かな広がりを持ち、メッセージ色濃い歌詞も鬱陶しくなく、アルバム全体として非常に説得力ある一枚に仕上がっている。アーロンのヴォーカルも光る。
この一枚がなくても、これまでどおりの楽曲アルバムを出していても、彼らはセカンド・ライン・ファンクの最重要バンドのひとつとなっていただろうが、ロックを巻き込んでまでのミュージシャンにはなれなかっただろう。それほど彼ら自身にとっても重要なアルバムである。
ニューオリンズの伝統に根ざしたファンクバンドであるが、全然汗臭くなく、すがすがしささえ感じられる、ロックファンにもお勧めの間違いない名盤である。