
ロッシーニ:作品集
『セヴィリアの理髪師』『チェネレントラ』といった人気作だけでなく、日本では全曲が発売されていない『セミラーミデ』のようなシリアスな作品をまとまって聞ける貴重な作品集だと思います。特に素晴らしいのは、セミラーミデが歌う難曲『麗しい光が』です。ジョーン・サザーランドのセミラーミデと侍女たちの女声だけで歌われますが、ロッシーニの優美で繊細な音楽が女声の美しさを引き出していてウットリさせられます。あらすじだけで歌詞対訳が付いていないので、詳しい歌の内容がわからないのが難点ですが、十分その魅力が伝わってきます。難しい理屈は抜きにして音楽だけを楽しむなら、このCDはうってつけだと思います。

ベートーヴェン:交響曲第9番
久々に第九の合唱に参加する事になり、手持ちの盤とは違うものを聴いてみようかなと思い立って、たまたま衝動買いしました。恥ずかしながらイッセルシュテットという名前すら知りませんでしたが...。
録音場所のせいか何なのか、音が立体的に聴こえるというか奥行きのあるところから飛んでくるように聴こえて、少し感動しました。
独唱ではジェームズ・キング(T)、マルッティ・タルヴェラ(B)の男声陣が、力み過ぎず、しかし素晴らしい歌いっぷりでグッド。ただし4人で歌うところはハモらない感じが目立つか。
合唱については、女声が非常によく響いて上手い!と感じます。バスが少ないのか弱いのか、いまいち聴こえませんでしたが尻上がりに調子よくなっていきます(女声の素晴らしい響きがそれを補って余るみたいな)。怒涛のテンポのラストまで、新鮮な気持ちで聴くことができました。濃厚さはないけど、心が洗われた気がして、星4つです。

どこかで聴いたクラシック オペラ・ベスト101
ベストオペラ101を楽しく聴いております。素晴らしい演奏の音源の蓄積があるデッカの中から、101曲に絞る作業も大変だったと思いますが、選曲はとてもバランスのとれているものですし、嬉しくなるような演奏の数々を聴き、堪能しています。
カラヤン、ショルティ、ロリン・マゼール、ズービン・メータ、シャルル・デュトワ、アシュケナージ、シノーポリ、ホグウッドなど、20世紀を代表する指揮者による演奏が含まれていますし、オーケストラも多彩で広範囲の管弦楽団を聴くことができました。
声楽曲が好きで、30年以上前からオペラ・アリアをよく聴いてきました。声楽家の特徴は、歌い手によって、声質も表現の仕方も高音の伸びも違うということです。いろいろな名歌手の歌声は、例え録音が古くなっても貴重だと言えましょう。
特筆すべきことは、世紀のオペラ歌手が残した全盛期の声を確認できることでしょうか。名プリマ・ドンナも加齢とともに衰えが見えるわけで、絶頂期の演奏は録音でしか確認できないので、古い音源も新しい音源も含めてこのような企画は貴重です。
マリオ・デル・モナコ、ジュゼッペ・ディ・ステファノ、ジュリエッタ・シミオナート、カルロ・ベルゴンツィ、レナータ・デバルディ、テレサ・ベルガンサ、ジョーン・サザーランド、ニコライ・ギャウロフ、ルチア・ポップ、モンセラート・カバリエ、という往年の名歌手の歌唱は素晴らしいですね。
そしてプラシド・ドミンゴ、ミレッラ・フレーニ、キリ・テ・カナワ、ルネ・フレミング、エディタ・グルベローヴァ、ソプラニスタの岡本知高、7曲収録されてあるパヴァロッティ、これぞ名歌手のオペラ・アリアでしょう。

ランメルモールのルチア*歌劇 [DVD]
サザーランドの演技が所々ギシギシいってるのと、クラウスの顔色が悪い(?)のが少々気になるところ。それを差し引いても、後半の「狂乱の場」からラスト「神に向かって翼をひろげた君よ」までの二人の歌唱は見事です。サザーランドはほぼ最盛期に近いんじゃないでしょうか。クラウスも負けず劣らず円熟した気品のある演技を見せてくれます。ちなみにサザーランドの顎、これの回では(私は)それほど気になりませんでしたが、どうでしょう?(^^;