不整脈治療薬ファイル ―抗不整脈薬治療のセンスを身につける―
心房細動以外の不整脈治療を、薬物で行うことに、多くの医師は迷うと思います。カテーテル・アブレーションがある現在、どこまで薬物で治療して良いのか?不整脈専門医以外が、どこまで介入することが許されるのか?実際不整脈を見たときに、どのような点に気をつけたらよいのか?それらの答えが、ここにあります。
EvidenceとLogicsを十二分に捉えた後に、我々はどうすべきかの指針を、明快に述べられています。全てを踏まえた上で、「こうしましょう」、と背中を押してくれます。
患者さんが困らない限り、不整脈の薬物治療は要りません、と大切なことも書かれています。
一通り、不整脈の学習をすると、理解以上に、疑問が増えます。この段階で、その答えをくれる本はそんなにありません。
患者アウトカムからみた不整脈の薬物治療 (循環器臨床サピア)と合わせれば、不整脈薬物治療の学習で、ほとんど困ることはないと思います。
3秒で心電図を読む本
この本は本当に素晴らしい。
何故素晴らしいか。
臨床医は何か頭に考えながら、鑑別診断をうかべながら、その身体所見であったり、
追加検査を行うのが理想である。この検査で○○を評価しよう、この検査ではこのような結果が予想される、
では本当にそうなのか?といったように、検査とは確認作業である。
この本は一見とっつきにくい心電図検査において、どういう視点で心電図検査をオーダーし、評価すべきなのかを
明確にした初めての著書であると思う。
私自身上級医がこれは○○だねと結果だけ教えてくれる場面には多々遭遇するが、
上級医が何を考え、何をみているのかを教えてもらったことはない。
『師を見るな、師の見ているものを見よ』
正にこのことである。
この本を、心電図が得意だと言えない全ての人に強くお勧めします。
心房細動に出会ったら
循環器内科医2年目ですが、循環器を専門とする医師のなかではrate controlとrhythm controlの間に生命予後的な差はないことはよく知られていますが、なかなか他科では受け入れがたいのが現状のようです。(2008.6月現在)
患者さんの発作の訴えが強いこともさることながら、心房細動が出ると、このまま脳梗塞や心不全になってしまうのではないかという不安をもつ医師も多いものと思います。
通り一辺倒にverapamilを使用することや薬剤的な除細動をすぐに試みる前に、まずこの本を読むことをお勧めします。
いわゆるマニュアル本のような、どの薬剤を何mgを何分でなどという内容は期待しないでください。
絵本のようなサイズで索引まで含めてわずか150ページの中に、本当に知りたいエッセンスが満載されています。
心房細動発症時に何をすればよいのか、高齢者でもワルファリンを選ぶ理由、どんな症例を専門医に送るべきなのかなどなど。
タイトル通り心房細動に出会ったら読むことをお勧めしますが、できれば出会う二時間前から読み始めるとちょうどいいと思います。
個人的には心房細動との遭遇率の高い神経内科や脳外科の先生に是非読んでいただきたいと思っています。
山下先生の人柄の滲み出た必読の一冊です。