厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日
この本のサブタイトル「天然痘テロに日本が襲われる日」が気になって本を買って読んだ。新型インフルエンザも恐ろしさ以上に天然痘テロは恐ろしいことは歴史が物語っているからです。この本は暴露本では決してないということだ、ましてや、著者は厚生労働省が崩壊すれば良いと言っている訳でもない。年金問題一つにしても厚労省に大きな疑問を感じている国民は大勢いる。誰も予想もしていなかった人物が突然彗星の如く現れ、アメリカ大統領にオバマ氏が選ばれた。もはやアメリカの国民は国を無条件に信じられなくなったからであり、これまでの大統領の力そのものが大きく低下した結果だろうと思う。それだけに新大統領に可能性を求めたのだろう。日本国民も、恐らくこのままでは日本はうまく行かないと思っているはずである。著者が立場を超えてこの本を書いたのは、もし天然痘テロに襲われたなら国民は大混乱に陥り、多くの犠牲者を出すことになることは間違いない、その事を知ってもらいたいという、已むに已まれずの気持ちから書かれたのだろうと推測する。何度も左遷の憂き目に会いながらも、何とかしたいと言う思いから周囲の人たちに公衆衛生の大切さを知らしめる努力をされたことに頭が下がる思いです。著者の父親のことが書かれていたが、実に素晴らしい方だと思う、その娘さんが信念と人間愛に満ちた気持ちで頑張っている姿を思うと涙が出そうになる。
厚労省と新型インフルエンザ (講談社現代新書)
「結局、どんな病気になりたくないか、によって話が変わってくる」。
メタボ診断を中心に、日本で一般的に行われている健康診断の検査項目と基準値について、疑問を投げかけている本。BlueBacksシリーズの一冊だが、特別な科学的基礎知識は無くとも読める。大人になるにつれ気になってくる身近なテーマに対して、様々な調査データを集めて検証し、わかりやすく解説している。
メタボリックシンドロームとは何か、メタボ診断の問題点、コレステロールや高血圧や糖尿病について、欧米との違い、学会での様々な議論、製薬会社と研究者との結び付き、幅広い健康診断の検診項目が実際は何にどれほど役に立つのか、高齢者の健康、といったことについての解説が行われている。
ただし、この著者は、メタボ診断や健康診断に対して明らかに最初から否定的な立場で書くことを目指しており、それが前面に出たトーンになっている。そして、時々論理的に飛躍した強引な論調や批判が見受けられる。
わかりやすい例を挙げると、この著者は、統計上は自分が健康と思っているほど長生きしている傾向があるから「自分は健康だと感じている人は、老化を遅らせることができるといえそうだ」と結論付けている。しかし、健康ではないと思っている人の中には、そもそも実際に病弱だったり健康面で問題を抱えている人が多く含まれているのではないだろうか。比較の基本条件を科学的に検証可能な形で平等にしない限り、とてもこれだけで著者の主張するような結論に導くことはできないだろう。