忘却のクレイドル(3) (アヴァルスコミックス)
兵科訓練を課され収容された少年達の孤島サバイバル群像劇、脅威迫り来る第三巻。
カズキたちを狙う外敵が登場しスリリングかつミステリアスな緊張感がいっそう高まります。
いつもへらへら笑ってる陽気なサイ、その友人で平凡なカズキ、優等生トウジ、パソコンマニアの無口なユウ。
それら個性のばらばらな少年達が、荒廃した孤島で冷凍睡眠より目覚め、自らの体に宿る超自然的な回復力と膂力に戸惑いつつも生き延びるため力を合わせる。
やっぱり面白いです。この巻ではサイに依存するユウのある秘密が明かされたり、接触恐怖症であるサイのトラウマの元が回想で匂わされたり。
というか……確かに登場キャラは圧倒的に少年が多いですがそっち方面に話が転がるとは思いませんでした……男に告白とか性的に食いたいとか(笑)
キョウヤとサイの絡みなんであんなエロいんだ。額をぺろりとか。
一見明るく頼り甲斐のあるやんちゃ系少年が秘めた人間不信の根深さ、情緒不安定さは見ててはらはらします。
トウジは三巻でも存在感あるなあ……残された者たちが彼を精神的な支えにしてことあるごと消息を口にするせいでしょうか。それだけにまとめ役のトウジ不在による不安の水位が上昇し、分裂の前兆たる諍いの頻度が増えていく様子が重苦しい。
軍艦島みたいな廃墟の描写も好きです。
廃墟と少年はやっぱり似合う組み合わせだ。
極限状況に放り出された少年達の友情や対立、共同体の成立を描くんですが、劣等感に嫉妬、人間関係の軋轢を孕んだ心理描写がシリアスな雰囲気を引き立てます。マイナーな作品ではありますが閉塞した人間関係を主軸に据えた孤島ものとしてはかなり完成度が高く、続きが気になります。
忘却のクレイドル(2) (BLADE COMICS)
この著者の作品はエニックスの連載時から読んでいますが、
今までのほのぼのとしていた作風から既に見え隠れしていた黒い部分が一気に解き放たれた印象を受けました。
いつかは暗い話を描くんだろうな、とは思っていましたが予想以上にスリリングでした。
著者の漫画の中では珍しく男の子が多め。
言葉の暴力も、身体的な暴力もあります。可愛い絵柄な分ストイックな部分が際立っていて個人的には怖いです。苦手な方はちょっと考えてから購入を決めた方が良いかと思います。
先生の本気キター!という気持ちと、暴力描写が叩かれないか心配‥という複雑なファン心境です←