ロック誕生 THE MOVEMENT 70’S~ディレクターズ・カット [DVD]
個人的に、フラワー・トラヴェリン・バンドの「Make Up」の映像に期待していたんですが、
収録されていたのはYouTubeにて公開の某映像にスタジオ音源を被せただけのものでした。
また、その他の多くの演奏シーンの映像も既出のものばかりで、まったく肩すかしです。
70年代当時の日本のロックの映像が1つのアーカイヴとして集約されたことは意義深いとは思うし、
そうした資料的なものとしてはそれなりに良い作品かもしれません。
が、1つの映画作品として観た場合はちっとも面白くもないでしょう。
なにしろ、内田裕也さんや近田春夫さんといった人達へのインタビューの合間に、
昔の映像が時系列もばらばらにダラダラ挟まっているだけの薄っぺらな構成でして、
映画のはじまりと終わりを内田裕也さんへのインタビューで纏めて、
どうにか全体を締めているだけの映画ですから。
インタビューをもうちょっと幅広く、細かくやって、
当時のレコード会社のディレクターだとか、ロックから別の方向へと流れていった人達とか、
そういう人達の証言も取り込んでくれていたら、奥行きのある見応えのある映画になったのでは。
例えばその後のYMOのメンバーがいたエイプリル・フールの人達だとか、
モップスから名プロデューサーへ転身を遂げた星勝さんとか、
ヒーリング・ミュージックみたいなものをやるようになった喜多郎さんとか、
話を訊くべき人は、いっぱいいたでしょう?
これでは「ロック誕生」というよりは、「内田裕也誕生」ですよ。
内田裕也さん、大好きだからこれでもいいんだけど(笑)。
おやすみパラドックス
相対性理論が持ち上げられすぎたのか、
絶賛されていた音楽性の絶妙なバランスが崩れてしまったように思えて他ならないです。
確かに歌唱はキュートさに萌えるし、歌詞の言葉遊びも面白い、PVのカオス具合もいいのですが、
需要を理解した上での供給のような気がして、イマイチ乗り切れません。
狙いすぎな部分が、冷めさせるんですかね。
それもまた勝手な話のような気もしますが。
楽曲にしても相対性理論はバンドサウンドにあの歌声というところが
ギャップ萌え(この言い方もどうか…)だったり、シュールさを引き起こしていたと思うので、
今回の抑揚の無さ過ぎる単調な曲調もマイナスですね。
カップリングは普通に良カヴァーだと思います。
来年に相対性理論のシングルが発売だそうですが、今後とも注目なのは間違いないと思います。
ただ一部で騒ぎすぎたことも否めないのかな。
浅草橋ヤング洋品店 魂の在庫一掃大セール DVD-BOX
伝説的な番組で楽しく見れました。しかし今の若い人に勧められるかというと少し悩みます。笑いの質が少し違いますので。後、画質の悪い回があったのは残念です。
電撃的東京
類まれなき才能を発揮しながら、常に一歩先を行き過ぎていて評価されずにいると、自ら公言してはばからなかった近田春夫の真骨頂!!
78年発売時点での新旧アイドルから森進一までの原曲を、近田春夫のしつこいまでの編曲で聞かす傑作アルバム!!原曲を知っている人はもちろん、このアルバムを先に聞いて後から原曲を聞いた人も、大ショックを受けること請け合い!選曲は「大ヒット曲」よりも「通好み」となっている。キャッチフレーズは「ロックと歌謡曲の熱い遭遇実現!!」
#12はセルフカバーだが、シングルバージョンと違って、近田がライブで聞かせていたしつこいまでのビブラートが必聴!「レコードでここまでやるか!?」
とにかく聞くべし!
#13、#14はボーナス・トラック
考えるヒット (文春文庫)
ミュージシャン・音楽評論家、近田春夫。
古くは「ジェニーはご機嫌ななめ」でヒットを飛ばし、80年代はヒップホップとファンクに傾倒し、2000年代はサイケトランスで活動をしていたヒト。(1951年生まれです)
もうひとつの顔は音楽評論家。
「評論」の難しさは客観的に人が聞いて納得出来る啓発を与えること、と俺は考えている。主観的に「これはスゴイ」と言っても、何がすごいのか何が面白いのか分からない。かといって、客観的な解説だけでも作品の説明をしているだけになってしまう。
おそらく「評論」、もしくはこんなmixiレビューであっても、理想的な形は主観を語っているだけに見えながら、「言い得て妙だ」と感じさせることなんだと思う。
近田春夫の音楽評論は紛れもなくそれだ。
こんな評論はあまりお目にかかれない。主観的に語っていながらも、彼の音楽的素養や当事者としての知識と含蓄を感じる。それが読み手に何ともいえない説得力を投げつける。
さて、「考えるヒット」はJポップのヒットチャートを評論したもの。本著は98年前後で、けっこうヒットチャートが面白かったころ。
実際に読んでもらえば、僕のいわんとすることは分かってもらえるんだけど、それは難しいので各章のタイトルだけをつまんでみます。
「小沢健二は歌がヘタ?その俗説を否定しよう」
「猿岩石は遠くを見つけバラエティと訣別する」
「CMソングを束縛する「甘いサビ」という旧弊」
「クラシックの人達のリッチな暮らしぶりの謎」
「「つまんねェけど売れる曲」の構造を考える」
「国民とエイベックスの蜜月はいつまで続くか」
「ビジュアル系の化粧は外道以来の気合の証明」
「「善良な自分」を全肯定 それが槇原敬之の本質」
「ユーミンは低カロリーへ みゆきは激辛へと進む」
一流コピーライターのようなキャッチコピーだと思う。全体的な雰囲気として、俺はナンシー関の本質を抉る言葉に似ていると感じる。(本書で対談も行っている)
俺と同い年くらいの人は、「あー、懐かしい(笑)」という点でも楽しめますよ。