オバマを狙う「白いアメリカ」 (祥伝社新書 176)
すでに何人も大統領が暗殺されてきたアメリカ,そして南部に白人優越主義者をかかえるアメリカで誕生した黒人大統領は暗殺される危険がたかいのではないかと危惧してきた.しかし,マスコミなどでその話題がとりあげられているのをほとんどきいたことがない.この本はこの話題を正面からあつかう,かずすくない本だ.
この本では実際に,オバマをねらった事件を,かれが大統領になるまえからリストアップしている.しかし,それだけでは 1 冊の本をうめることはできなかったようだ.歴代の大統領の暗殺あるいは暗殺未遂事件をとりあげ,オバマの再選を阻止するうごきもとりあげている.オバマに関してはまだ暗殺者の存在がそれほどおおきな問題になっていないのだとしたら,すこし安心してもよいだろうか.
刑務所の王
著者がアメリカでの受刑中に出会った、一人のアメリカ人受刑者の半生記。著者の思いが強いためか、主人公への好意的描写が目立つ。
しかしながら、無法地帯とも言える刑務所内で生き続けることの過酷さと、受刑者の生活、思考方法を理解する手助けとなる。
犯罪者の矯正施設としての役割を、刑務所は果たしているのか、または果たすことができるのか。社会は刑期を終えた受刑者を、社会の一員として向けるだけの寛容さを持ち合わせているのか。刑務所の存在意義についても一考を促す著作であると思う。
アーリアンとは何か―その虚構と真実
本の始めに著者はこう言っています。『今日、「学問」と称されているものは、西欧社会をモデルとし、西洋人の頭と西洋人のメンタリティーで構築されたものである。』 今日に至るまで世の中に知られているアーリアン学説は、著者が表現したように、西洋人の頭とメンタリティーで出来たものである。それは、イギリスのインド植民地支配の時代から始まり、今日もこのような西欧史学偏重のかたまりのような学説が流通しているのはとてもおぞましいことであると思う。この一冊を読むと、いかにして西洋人が白人に優越選民意識を、有色人種に劣等民族意識を植え付けていったかが明らかになります。