ふたりのロッテ (岩波少年文庫 2013)
夏休みの林間学校で偶然出会ったルイーゼとロッテは、実は自分たちが親の離婚で引き離された双子であることを知ります。そして、両親のよりを戻させようと、ロッテはルイーゼになってウィーンのおとうさんの豪邸へ、ルイーゼはロッテとなり編集者のおかあさんが待つ、つつましいミュンヘンの家へ。親は全然気づきませんが、有名な作曲家になったおとうさんは、ついにお金持ちの女の人にプロポーズしてしまい……。
ロッテの持っている母親の写真を見て、ルイーゼが「あたしのおかあさん!」と叫ぶ場面や、本当はロッテであるルイーゼが高熱で寝込んでしまうクライマックスへの始まりなど、懐かしく思い出しました。
今言うならナツメグが「ニクズク」となっているなど、少しレトロな訳文も話の雰囲気にぴったりだと思います。「母おやというものは……子どもが子どもの天国からあまり早く追いだされないように守ってやる義務があるんだわ」というおかあさんのせりふが、今ではずしんと来ます。現代の少女たちにもぜひお薦めの、児童文学の名作です。
ふたりのロッテ (ケストナー少年文学全集 (6))
高橋健二の名訳が現在も読まれているのが嬉しい。子どもの時にこの作品を初めて読んだ時、異国で起きている離婚という内容が、初め何のことかわからなかったし、双子が入れ替わるというショッキングな冒険も、夢物語のように感じていた。
しかし、成長するにつれ、世の中の現実がわかるようになると、いかにロッテとルイーゼが両親のせいで世間の荒波にもまれていたのか、寂しい思いをしたのか、大人の相手役としてそれぞれの役割を演じて生きていたのかを、考えさせられるようになった。
良作は、読者を物語の世界に引き込む。そして、主人公と一緒に悩み、冒険し、憤り、喜び、その結果、意識していなかった自分の半身から学ばせてくれた。成長は子どもだけではなく、主人公たちの両親もまた、娘の変化と共に成長することになる。行動と変容、そしてそのきっかけに、意味深い家族の再生を見出すのである。
ふたりのロッテ [DVD]
これのアメリカ版THE PARENT TRAP(ウォルト・ディズニー)も比較したが、あくまで子供向け。こちらの方が感動が深いし、大人も楽しめる。更に、ドイツ語の勉強にもなる。絶対 お薦め。
ふたりのロッテ [DVD]
いい映画ですねえ。内容もよければ、音楽もいいし、風景もいいです。特に前半のスコットランドの景色はなんともいえないくらいきれいです。
子供がキューピッド役をやって離婚した両親を結びつける話です。それも親たちがやさしいから子供もやさしいんでしょう。離婚して別居した双子が入れ替わって、作戦開始。ここのところはもう面白いのなんの。育った環境が違うから性格も違うのです。結局両親ももとのさやに戻るのですが、最後に父親に育てられた子供の方は賭けをします。別れ際、渡した手紙にはパパの口癖の「人生には急停車が必要なときがある」と書いてあったんです。やるねえ。そのとおりになっちゃった。なんというか、楽しい、心温まる映画だと思います。大のお勧めです。
ふたりのロッテ (岩波少年文庫)
皮肉と教訓に満ち満ちたケストナー文学。わざとらしい感動や涙や笑いの強制であふれんばかりのいまの日本社会にとって大いなる清涼剤です! 高橋健二さんの訳もすばらしいです。