源氏物語 (名著をマンガで!)
1924年生まれの日本古代文学研究者が1968年に刊行した本。紫式部は970年代半ば頃、藤原家傍流の文芸で知られた受領階層の家系に生まれたが、当時の女性に学問を社会的に活用する道は無かった。また夫と早くに死別した彼女は、娘とともに厳しい将来への不安に怯えた。こうして、自己目的的に蓄積された彼女の学問教養は、実人生での絶望を壮麗な虚構の大作『源氏物語』として昇華する方向に、活用されるに至ったのである。この物語の主人公光源氏は、無力な家柄の更衣と帝との純愛によって生まれ、それゆえに卓越した美貌と資質が無ければ生きてゆけない運命を背負っていた。彼は異母兄の脅威となることを避け、源姓を賜って臣籍に降るが、この賜姓源氏が当時藤原氏と競合する勢力と見られていたことには注意を要する。彼は義母への強い恋慕から罪の子冷泉院をなし、義母の形代としての紫上を養育し妻とする。さらに彼は兄に仕える女性と密会を重ねたために、須磨落ちを余儀なくされるが、官位よりも蓄財を選んだ明石一族と出会い、その娘と結ばれる。やがて帰京した彼は冷泉院即位と共に権勢家としての道を歩み、明石姫君を通じて皇太子の外祖父としての地位を確保し、六条院を造営して栄華をきわめる。しかしこの後、彼が新たに妻とした女三宮は柏木との間に不義の子薫をなし、また息子夕霧が父への対抗者として登場するなど、光源氏は物語を主導する役割から脱落し、死を迎えることとなる。その後は彼の息子たち、薫と匂宮が八宮の娘たちをめぐって恋のさや当てを繰り返す話となるが、紫式部の筆は、むしろこうした男たちの影で、主体的に生きることを許されなかった女たちの境遇、男と女の意識の断絶を切なく描く。紫式部は虚構の物語によって実人生の絶望と戦い、そのことがより深い絶望を掘り起こしていくという過程の中で、『源氏物語』を描き切った、と著者は見る。
安倍晴明3 ドラマCD ~わだつみの抄~
この作品はシリーズで、去年の11月からすでに3枚目という 物凄いスピードでの発売なのですが、統べて各々で楽しめ 今までの安倍晴明像とは違った晴明像が姿を現わします。今までに何枚もドラマCDを聞いてきましたが、これだけひきこまれて、物語が手に取るように聞けたのも初めてです。この美しく綴られた言葉達が形になる瞬間を是非聞いて頂きたいです。