志を教える―松下幸之助の人づくり
最近は、“起業”や“成功”といった謳い文句で様々な啓蒙書が出回っているが、本書はそのような啓蒙書とは一線を画す本である。
というより、そのような啓蒙書と同一のレベルで論じることは、この本に失礼ではないかとさえ思える。
戦後の復興を経て、日本は世界トップの豊かさを誇る国になったが、果たして精神ではどうだろうか?
この本には、“成功”や“勝ち組”に直接結びつくようなことは書かれていないと思える。
しかし、そういったこと以前の問題として、人として、非常に大切なことが書かれている。
そして、日本人が忘れそうになっていることが書かれている。
HowTo本や啓蒙書を読み漁っても、自分の軸を持っていなければ、情報に翻弄されるだけである。
そして、その軸は自分で見つけ出すものであって、与えられるものではない。
本書には、その軸を見つけ出すために必要なことが書かれている。
成功失敗云々ではなく、人としてどうなのか?
ぜひ一読を薦める良書である。