レフト・アローン(K2HD/紙ジャケット仕様)
10年以上も前に好きだった曲を今になって聴くと、その時の感性で受け止めた印象と随分違うのに驚くことがある。そうではなく、時を経てなお同じ印象を受ける曲もある。久しぶりにLeft Aloneが聴きたくてこのアルバムを買った。この曲を初めて聴いたのは高校時代。青春時代の中で悲しいことは何ひとつなかったはずなのに、なぜだか涙が流れてきたのを憶えている。そして今日もまた15年前と同じく涙が流れた。マル・ウォルドロンの深みのあるピアノとジャッキー・マクリーンのむせび泣くサックス。この演奏がなぜ私を悲しくさせるのかわからないが、その悲しさが快感である。

 

クール・ストラッティン+2
ドラッグのやりすぎにより、わずか31歳の若さで他界したピアニスト、ソニー・クラークの代表作。50年代のファンキーなムードをたたえながらもどこか、知的で複雑な要素を持ったアルバムだ。Cool Struttin'というタイトルとジャケットのおしゃれなセンスはおよそファンキーな土くささと相容れないし、Blue Minorの哀愁を帯びたテーマはホットに語りかけ、心を熱くさせる。米国におけるクラークの人気は意外なほどないという。日本ではマイナー好みな日本人の感性にフィットしたのかジャズ喫茶の超人気盤であった。アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マックリーン(as)というフロントラインも、哀愁とファンキー、知性など複合的なムードを引き出すことに貢献している。また、P・チェンバース(b)、F・J・ジョーンズ(ds)といえば当時のマイルスのリズム陣。後乗りのビートで全体をぐいぐい引っ張り、フロントラインを煽っている。58年といえばハード・バップが熟成しファンキーな色合いのジャズが絶頂期を迎えつつあったが、カーティス・フラーの「ブルースエット」やジャズ・メッセンジャーの諸作と並ぶ名演であろう。しかし、あえて単なるファンキージャズと一線を画したくなるのはクールなハード・バップという形容矛盾を犯してしまうほど、ソニー・クラークの美的で底知れぬ才能のゆえである。60年代、70年代、80年代のジャズシーンの中で、ソニー・クラークがどのような演奏をしていたか、聞いてみたいと思うのは僕だけではないだろう。だが、短い時間に生き急ぐようにして吹き込まれたクラークのキラ星のような作品の生命は永遠の輝きを放ち続けるに違いない。

 

ケン・バーンズJAZZ [DVD]
実に丁寧に作られたDVDであり、これまで聞き流していた音楽がただのBGMでなくなり、好きで聞いていた曲がより親しみをもって聞けるようになる魔法の玉手箱といった作品です。古き日のニューオーリンズの写真などは、実際には観てない筈なのになぜか懐かしい。いい写真をギャラリーで見ているような楽しみすらある。モノクロームの映像はシネクラシックをみているようでもあります。ジャズは聞くばかりでなく、観る楽しみもあることに思い当たらせてくれます。ジャズの歴史のセミナーというより、ジャズを綴った映像詩といった趣を感じます。そして、好きなジャズミュージシャンの知られざる部分も観るというより、共に体験する喜びもあって、とにかく盛り沢山。
この感動的なDVDを見てJAZZの名曲、名演を聴いたら楽しみは100倍になると思います。

 

マイルス・デイヴィス青の時代 (集英社新書 523F)
著者のマイルス新書シリーズの第1作。私は本書を読むのが最後になったが、やはり年代順に本書から読み始めるのが望ましい。なぜなら、第2作以降では年表の不在が気になったが、本書冒頭に1926−91の年譜があるではないか。第2作以降もこの年譜を参考に読み進めるべきだろう。

ピカソの青の時代に相当するマイルスの青の時代として、著者はマイルスの生い立ちからアマチュア時代、プロ・デビュー、演奏スタイルの確立、アレンジャー/オーガナイザーとしての卓越した才能の開花の足跡を辿り、同時に至高の傑作カインド・オブ・ブルーに至るまでの数々の名盤(ディグ、ウォーキン、バグス・グル―ヴ、ラウンド・アバウト・ミッドナイト、マイルス・アヘッド、サムシン・エルス等)を名盤たらしめている秘密を探る。そして、この時代のマイルスと多くのモダン・ジャズの巨人との交感やケンカ・セッションの真相等も丁寧に明かす。

ジャズのどの作品を聴こうかと迷ったら、マイルスを聴くべきであり、ジャズ入門者はもちろん、40〜50年代のジャズに詳しい人にとっても新たな発見がある好著だ。

 

Jackie McLean - A Fickle Sonance (1961)



ジャッキー・マクリーン 動画


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ジャッキー・マクリーン 情報


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