代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳 (集英社新書 492B)
本書は、アメリカで基礎医学を学び
現在は政治、経済、文学など
様々な分野で活躍するジャーナリストである著者が
代理出産の現状を概観する著作です
海外の事例やインタビューを元に
代理出産にまつわる議論状況や
関係する人々、そして法制度などを概観します。
子どもを切望する夫婦、代理母
代理出産を行う医師、そして代理出産を推奨・斡旋する業者や政府
そして、さまざまな論理を駆使する弁護士―
情緒的・感情的になりやすい問題なので
インタビューに応じた当事者たちの主張もそれぞれ異なります。
筆者は、そうした多様な意見を客観的に検討・分析するのではなく
取材の過程で感じた困惑を隠さずに表明し、
そのうえで、子の自己決定権を配慮することと
どんな形にせよ早急な法整備で解決することが必要と主張します。
代理母の出産に立ち会った依頼者や
「子どもは商品ではない」というレポートを書いた代理出産で生まれた子
など、紹介される代理出産の個別事例も興味深く
制度論や立法論、社会学的な観点からの検討をするだけでなく、
個々のケースを知る必要性を深く感じました
代理出産の実態とメリット−デメリットを
平易な文章で多角的に描いた本書。
代理出産に関心をお持ちの方はもちろん
最先端医療や生命倫理などに興味のある方など
幅広い方に読んでいただきたい著作です。
私は、産みたい
タイトルと、帯の「もう、あとがない、、、」という切実なメッセージに強くひかれ、あっという間によみおえました。ご主人ともに議員である彼女が妊娠を強く望み、ご主人と医師と体外受精に何度も取り組んでやっと妊娠され、喜びもつかの間、切迫流産で入院(事実を周囲に告げられずに仕事を休むことも、どんなにか苦しい事だったでしょうか)、流産、その悲しみを経て卵管手術への希望そしてあきらめ、体外受精への再取り組みにいたるまでの希望、苦悩、が赤裸々につづられています。
私自身は子供を強く欲しいと思った時に全く困難もなく自然妊娠した上で、おはずかしい事ですが、実際の子育てでは自分には自由がない、子供を持ったことは自分の人生にとって本当に良かったのか、など人には決して言えないような気持ちでいた所でした。しかし、この本を読みすすむにつれ、自分の今のおろかな思いが悔しくなり涙がとまらなくなりました。特に、彼女が、流産後、子供連れの家族を目にすると嫉妬や羨望ではなく生命というものの素晴らしさを感じずにはいられないといったことを書かれています。この思いは読み終えた後、私の心にも同様に強く刻まれ、命あるすばらしさを実感しています。野田さんという1人の女性を、人間、政治家としてこの本で身近に感じ、尊敬し、応援したいと思うと同時にこの本のタイトルにある彼女の強い希望が叶うように祈っています。そして、自分の子供を含めすべての命あるものを尊いと気づかせてくれたことに感謝します。