ドヴォルザーク:チェロ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲
独奏チェロのフッフロはチェコのチェリストで、一般的な知名度こそ劣るものの、20代から数多くの国際コンクールで1位輝いた実力派。スークトリオのチェリストとしても活躍した。このディスクでは、ドボルザークの協奏曲をチェコフィル/ヴァーツラフ・ノイマンがサポートする、まさにお国ものの演奏。冒頭からチェコフィルの深々とした響きと、細部に渡る楽器のニュアンスの妙が心をつかむ。ノイマン、最高の出来栄えだ。いよいよ、チェロの独奏。その男性的で豊かで美しい響きに圧倒される。微妙なテンポ(アゴーギグ)と間合い。圧倒的な名演だ。こちらもぐんぐん音楽に引き込まる。これほどすばらしい演奏はめったに聴けるものではない。音楽を聴いてこれほど感動したのは久々のこと。
ヴァイオリン協奏曲はドボルザークのひ孫にあたるヨセフ・スーク独奏。僕自身この曲は何種類かのディスクを今まで聴いてきたが、疑いなく最高の演奏。スケールは大きく、スークの音楽性は他のヴァイオリニストが捉えきれないこの曲の内面的な世界に肉薄している。実に内容の充実した演奏で、この演奏によってドボルザークのヴァイオリン協奏曲の魅力を初めて知る方も多いのではないかと思う。