斜陽・人間失格・桜桃・走れメロス 外七篇 (文春文庫)
太宰のポピュラ太宰のポピュラーという意味での代表作が収められた贅沢な一冊です。表題作「斜陽」は没落貴族の物語ですが、女性の語り口は、女性心理を知り尽くした太宰ならではの芸当なのかもしれません。実際この作品のモデルとなっているのは、ある女性が書いた日記なのだそうです。それをパクった訳ではありませんが、これを読んでインスピレーションを得て書かれたとの事です。私は太宰を愛するあまり、太宰がこよなく愛した武蔵野の地に住み着いて永くなります。ちょっと町を案内してみましょう。
表題作の「斜陽」は、太宰作品に珍しいミステリー「犯人」に出てくる肉屋の離れで書かれました。「人間失格」は、太宰が三鷹駅近くの本町通りに借りていた仕事部屋「千草」で書かれました。のちに入水事件の相手と成った愛人・山崎富英の下宿跡は、この仕事部屋のはす向かいに在りました。「ヴィヨンの妻」の前半は郵便局の斜め向かいに借りていた仕事部屋で書かれたそうです。
現在の三鷹駅周辺はすっかり変わり、これらの史跡も建て替えられてしまいましたが、多くの文学者が住んだこの町は、今でも文学ファンにとって特別な町であることに変わり在りません。しかし何と言っても三鷹と言えば「太宰」です。毎年6月に禅林寺で催される「桜桃忌」は、熱烈なファンで溢れ返ります。そんな作家は世界的に見ても希有な存在であるといわれます。まさにカリスマ作家。その魔力のひとつは、「人間失格」に象徴される退廃の美学、そして実生活における薬物中毒や女性問題と自殺未遂、最後の入水自殺に至るセンセーショナルな生き様は、あまりに強烈であり若い人達には憧れを持たれるのでしょう。私もその一人でしたが、入り口はそれで良いと思います。しかし太宰の神髄は、あの唯一無二の文体の魔術なのであり、アウトローなれど偉大な文学者であった事を忘れるなかれ。一度は文庫本片手に「三鷹にどうぞおこしやす」
羅生門 デジタル完全版 [DVD]
正直、今まで、この作品が海外で、どうして評価が高いか理解できませんでした。
中心となる森のシーンは、ほとんど真っ暗で何やってるか分からないし音声も、ほとんど聞き取れないので、意味不明なストーリーが、ますます分からず実験作なのは理解できても感動とは、程遠い印象でした。
が、このDVDを見て印象は180度変わりました。
兎に角画面が美しい。森のハイコントラストな光と影は印象派の絵の様で、その中の京マチコさんの美しさは絶品ですし、二人の男優も個性は真逆でも美しいです。そして衣装も凝ってます。
話の内容も表面的には全く異なりますが、人間性の本質は実は、どれも一緒です。
女性は、視点により悪女にも淑女にも成りますが、そのどちらも併せ持つ物だと黒澤は言いたいのではないでしょうか。
そして、男性は、そんな女性に振り回される哀れな存在だ。
こう考えると一見多面的なこの作品も一貫性のある物だと言えます。
そして、黒澤の、こうした人間感は、同時期発売の、本作制作の数十年後の「乱」でも変わりません。
それにしても、今回の復元が一番効果を挙げているのは、そうした複雑な女性を見事に演じ分けた京マチコさんです。復元で表情の微妙な違いもはっきり分かるように成った事で彼女の演技が一層引き立ちました。脱帽ものの演技力です。彼女は「乱」で末の方と楓の方に二分された人間性を一人で演じきりました。海外での絶賛も納得です。
ただ「乱」と「羅生門」の違いは最後ではっきりします。
この間の監督の人生観の変化が何か悲しい物に写ります。
兎に角、この復元は賞賛に値します。日本でも、アメリカの様に名作映画の復元が進む事を願います。
結論として、本DVDはマストバイと断言できます!!
藪の中 [DVD]
芥川龍之介原作の小説を映画化したものですが、途中から話が複雑怪奇になってきて意味不明なシーンが多数。どうも兄弟間の近親相姦がテーマらしいのですが。まあ、坂上香織の全裸多数なのはうれしいですが。(笑)
名作文学(笑)ドラマCD 「ヤブノナカ」
原作ヤブノナカ自体は未読なので、これを機会に読んでみようと思いました。
本編が笑いなど入り込む余地の無いガッツリシリアスなので、おまけのパロディートラックが凄く笑えました。
さっきまでのドシリアスは何処へ…(笑)
迷っている方、聴いてみても損はないですよ♪
DS図書館 世界名作&推理小説&怪談&文学
やはり、DSliteのソフトであれば、電子ブックの可能性をもっと引き出して欲しかった
と思います。せっかくの名作を集めたのだから、朗読機能(音声で読んでくれる)を
つけて欲しかったと思います。
また、難しい漢字の読みや熟語などの意味がリンクする機能なども必要だと思います。
本だと、辞書やPCなどで調べなければならないし、あとで調べようとしても忘れ
てしまうことが多いので、直ぐに確認できると嬉しいです。
ただ、ゲーム以外でのこのようなコンセプトのソフトが出るのはとてもGoodだと
思います。
子供のころはゲームが楽しかったが、大人になった今はゲームより学習ソフトや
パズル物、料理レシピといったソフトの方を好むようになっているのは私以外でも
多くいると思います。