永遠の0 (講談社文庫)
とにかくページを捲る手を止められなくなる一冊でした。特に印象的だったのが飛行に関する場面。実在の撃墜王や架空の人物宮部の操る零戦の華麗な飛行は、悲惨かつ壮絶な日々のなかにあるからこそ、おそろしくも爽快でした。また、私は普段、戦争モノを敬遠しがち、なのですが、まったく「勉強させられている感」なく、純粋にストーリーに引き込まれる、ミステリ風の展開も良かったと思います。
ただし、気になったのは、このテーマで、ここまで大勢の実在の人物を扱うのならば、表現にはもう少し気遣いが必要では? という点。例えば戦時中、大本営や上層部に問題があったのは事実かもしれませんが、ある人間のある時点での一つの決定(言動)だけで善悪を決めつけるような、勧善懲悪的な表現は如何なものかと、私は基本、反戦の主義ですが、それでもそう感じました。このように善悪を断定的に描いてしまうのは、作者が物語中でかなりオーバーな場面を使い責任を問うたマスコミの行った罪と、根本が同じでは? どうしてもその場面、書く必要があるのならば、せめて架空の人物と置き換えるべきだったのでは? それこそがフィクションの利便性、心配りではないか、と私は思うので。
さらに、完全にフィクションとして楽しむのには、ドラマ性に既視感が。また、ミステリ(的エンターテイメント作品)として楽しむには、肝心かつ最大の謎が回収しきれていない。そうした消化不良の部分が少し残ったので、☆を減らしました。
あと、これはごく個人的な感想ですが、この物語、そのものは、老若男女、誰でも楽しめる、理想的なタイプのものだ、と思います。しかし女性読者の一人として、戦時中を生きた女性たちの描写はともかく、現代を生きる30代女性、主人公の姉については、現代の男性作家が、作中の感動をうながすためにつくった架空の登場人物として、好感が持てないのが本音です。
プロフェッショナルマネジャー
いつか会社を興そうと夢を持っている人の背中をどーんと押してくれる本。
緩慢に日々を過ごしているビジネスマンには、本書を読み通すのは苦痛に違いない。
しかし、本気でビジネスの頂点を目指す人間にとっては、こんなにも面白く、
かつわかりやすく、ヒント満載の本はないと思う。
自分が起業家タイプなのか、一サラリーマンとして安泰に過ごす人間なのか、
この本を読んでみて、面白いと思えるか、もしくはつまらないのか、
その感じ方で占うことができるはずだ。
どんな人間でも、よい経営者になるチャンスがあるとこの本に書いてある。学歴なんか関係ない。
目標を掲げ、情緒を失わず、努力を重ね、執念を持ち続けていればと。
実際に血の滲むような苦労を経験した著者から生み出された言葉には、非常に説得力があり、
柳井さんが最高の教科書だと言っているのも素直にうなずける。
起業を目指す人にとって、できるだけ感性の鋭い若いうちに読んでおきたい、
時代を超えた名著である。
雷桜 ブルーレイ [Blu-ray]
本作はおとぎ話(ファンタジー)です。それを成立させるには、ありえない『嘘』の部分以外のディテールをしっかりして、こんな物語りもあるかもしれないと思わせなきゃダメでしょう。まず大前提として、殿である斉道が、家臣もつけずに一人で山奥に入ることからクリアーしなきゃね。
それに脚本、演出以前にキャラクター造形が酷い。特に、時任三郎演じる育ての親のキャラ造形が酷い。暗殺のプロは「密命」ためには、実の娘だろうが切り棄てますよ。しかも相手は将軍の息子。生半可な暗殺ではないのに。彼が組織を裏切ってまで子供を生かし育てる動機が弱すぎる。
こうしたディティールが甘いから二人の置かれた厳しい設定が生かされず、あり得ない関係の恋愛劇が成立していない。
また、テーマが恋愛なのか親子関係なのか主従関係なのか、欲張りすぎてまとまりがない印象も受けます。
お屋敷で飼育されていた鷹の目から見た、山間の風景はスピードとその広がりの映像にはハッとさせられるものがあったけれど、雷桜の映像は美しいのは間違いないけれど、いかにもCGですと思わせるもので、花びらが散るシーンなんかやりすぎで、興ざめします。
殿様の子供時代のトラウマなんて、かつてのTV時代劇では決して描かれなかったことだし、原作小説はもっと掘り下げた二人の性格描写もあったかもしれませんが、そのあたりには迫り切れなかった感じ。二人の絆の象徴となるものも、どのポイントにしたいかハッキリしない。
ただ、蒼井優は、『天狗』と呼ばれるようなワイルドな役柄で頑張っていましたね。大声を張り上げるのもさることながら、馬の乗りこなしも上手かったです。
まぁ、蒼井優の熱演や、岡田将生のイケメンぶりは充分楽しめるので、ファンなら許せるでしょう。(笑)
結果を出し続けるために (ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則)
この本は、将棋で最も有名な羽生さんが人生と将棋を通じて学んだ体験をあますところなく書かれています。知識ではなく、羽生さん自身が体験から学んだことなので説得力のある内容であるとぼく自身は感じました。この本の内容からは、羽生さんの素晴らしい考え方が最も印象に残りました。羽生さんの素晴らしい考え方は、将棋だけではなく、その他すべてに通じる素晴らしい考え方だと思いました。
ざっくりと内容を掲載すると…
1章では努力について
2章ではツキと運から読みについて
3章では能力以上の力を出し切るプレッシャーとの付き合い方
4章では結果を出し続ける方法
5章では変化をして流れに乗っていく方法
この素晴らしい考え方は、何年たっても変わらない本物の考え方であると同時に、本を何度も何度も読み直して今の内にこの考え方をマスターしておきたいと強烈に感じました。この考え方をマスターして、さらに行動に移せたら…
これからの人生にとってかけがえのない財産になっていくと思われます。
これらのことから、ぼく自身の判断としてかなりの良書であると判断いたしました。