ドクター・フィールグッド
1980年代にブレイクしたLAメタルブーム。そのLAメタルの代表格がモトリー クルーであったが、そもそもLAメタルはヘヴィメタルというよりむしろアメリカンハードロックの部類のひとつって言ったほうが正しい。そんなLAメタルの代表格のモトリー クルーの最高傑作のひとつとも言われているのが、1989年リリースの「ドクター フィールグッド」すなわち本作である。ちなみに本作のプロデューサーを勤めたのは、後にMETALLICAの大ヒット作、「METALLICA」(91年)なども手がけたあのボブ ロックであり、しかも本作は全米アルバムチャート1位を記録する大ヒットとなり、モトリー クルーの最大ヒット作としても名高い。
そもそも最もモトリー クルーらしいアルバムといえば、前作の「ガールズ ガールズ ガールズ」という意見が多いようだが、クオリティー面に関しては本作が上であるが、どっちにしろ本作と前作のどちらかを最高傑作として挙げるファンも多いし、前作と比較すると全体的にヘヴィな仕上がりになっているものの、彼ら独特のサウンドスタイルは不変である。また本作には彼らの代表曲中の代表曲とも言われている(2)や、彼ららしいハードなロックンロールナンバーの(5)や(7)などもあり、彼らの名バラード曲のひとつとしても名高い(11)などが収録されている。また(2)よりも(5)の方をベストトラックとして上げるファンも多いようだが、個人的には(2)よりも(5)の方がモトリークルーらしいロックナンバーだと思うので、その気持ちはよくわかる。只前作と比べて彼ららしいロックナンバーがやや少ない印象はあるものの、完成度に関しては、前作に劣らぬ勢いも感じられ、モトリー クルーの最高傑作の一枚としてあげるにふさわしい出来栄えだと言えるだろう。これを聴かずにモトリー クルーを語ることは出来ぬほど重要なアルバムであることも確かだ!
敬愛なるベートーヴェン [DVD]
コピイスト(写譜師)と言う仕事は、作曲家や編集者が書いた主に直筆のスコア、もしくは手を加えた楽譜を、正しく清書するのが仕事で、マーラーなどはやはり作曲家志望だった夫人のアルマがやっていました。
原題からすると、写譜師からみた孤高の天才ベートーヴェンと言う風にも思うのですが、物語のプロットはそうではない。かといって、彼らの恋愛や師弟愛を歌い上げたものでもない。
途中の第九の初演のシーンでは、さすがにちょっと感動してしまいますが、その後の二人のやり取りには、不要と思われる拭き拭きシーンとかがあって、どうもすっきりしないといいますかピリッとしない。取り扱いの難しい弦楽四重奏曲「大フーガ」を持ち出しては見たものの、効果的なアイテムにはなっていない。
なんだか監督、周辺事情に色気を出しすぎて、いまひとつ彼らの人間像に踏み込んでいけてないような気がするのです。この辺は、「歓びを歌にのせて」と比べると、一目瞭然。
監督のアニエスカ・ホランド自身も、もちろんベートーヴェンを敬愛してやまないそうですが、どうもそういうミョーな敬意が、物語のリアリティを薄めてしまって、ノンフィクションに思われたらどうしよう的な恐れを持ったのではと思ってしまいます。
アンナをもっと早い時期に登場させ、彼女のより細かい心理描写や成長を通して第九誕生の秘密とか、最晩年の人間ベートーヴェンに迫り、第九で締めくくったら、もっと骨太ですっきりとしたわかりやすい映画になったのではと思うのですが・・・。
やはり女性監督と私との相性の問題でしょうか、この終わりなきねちっこさみたいなのは・・・。まあ、音楽をモチーフにした軽いヒューマンドラマとしてご覧ください。