最後の忠臣蔵 (角川文庫)
1702年12月15日の討入り前後、共に大石内蔵助の密命を帯びて苦難の道を歩む二人の「侍」瀬尾孫左衛門(刈屋孫兵衛)と寺坂吉右衛門の物語。確かな構想力と筆力そして豊かな想像力で、残された赤穂一党の人々のその後の人生に仮託して、人生の哀歓と人間の高貴さ、出会いと別離、侍魂と連帯の美しさなどを見事に描き切った池宮忠臣蔵の精華である。
それにしても、近衛家の家宰となった進藤源四郎(播磨守長保)の存在(104頁など)や六代将軍家宣の側室(その世子である七代家継を生んだお喜世の方)の兄分が富森助右衛門であった(177頁)という記載は、史実なのであろうか。大変興味深い。また、多くの赤穂浪人が公家侍になったのであれば、その子孫が幕末期にはどのように行動したのか(特に徳川幕府に対して)等々、興趣は尽きない。
12月18日公開の映画化も大変楽しみである。
高杉晋作(下) (講談社文庫)
よく「俺は太く短く生きたい」という言葉を耳にしますが、そのような生き方にどれだけの犠牲を払わなくてはいけないのかが高杉晋作の生き方を見て分かります。この本では高杉晋作にまつわる俗説をより史実に近い形に訂正することにより、よりリアルな高杉晋作像が浮かび上がっています。
自ら「面白きことも無き世を面白く」と詠んだ詩に代表される高杉晋作の生き様と、「動けば雷電のごとく、発すれば風雨のごとし」と表された彼の行動力がいつまでも人を魅了します。
明治維新は坂本竜馬が10名いても成立しなかったと本書に書いてあります。
確かにその通りだと思います。幕末の長州藩に高杉晋作という一人の天才がいたことに我々はいくら感謝してもしすぎることは無いと思います。
四十七人の刺客 [DVD]
オーソドックスな忠臣蔵が見たければ他にオプションはいくらでも有ります。(TVの特別ドラマだったけれども吉右衛門が大石を演ったのは良かったね〜。)そもそも健さんも浅丘ルリ子も時代劇向きじゃないんだし。言わば手垢の付いた題材を如何に楽しめるエンターテイメントに料理しようか、という池宮さんの原作に共鳴した市川監督が手に唾して作った新解釈の忠臣蔵映画です。テンポも悪くないし、私は好きな作品です。中井貴一はちょっと歌舞伎が入っている感じで、この頃からホント、良い役者になっていきましたね。
最後の忠臣蔵 [DVD]
幾多の忠臣蔵作品で、後日談物は初めてだったのでひかれました。鑑賞し終わった後に原作を読んでみたくなるほど、とても良かったです!主演の上川さん始め、豪華なキャストとその演技力も素晴らしく、美しい言葉遣い、心に留めておきたい名台詞の数々を見つけることが出来ました。「忠義に死するは容易なこと、生くることこそむつかしい・・・」「忠義に死んだものは誉れに高く、残されたものはぶざまな生きようをしいられる」この時代のそれぞれにおかれている立場の考え方の相違、想いなどが描かれており、忠臣蔵ファンならずとも見ていただきたいですね。いろんな意味で日本人の心底に流れる思想を揺り起こしてくれるような静かで力強い作品でした。
高杉晋作(上) (講談社文庫)
若くして才能を開花させながら、明治維新を見ることなく死んで
いった英雄。そしてその名も、坂本竜馬などとは比較にならない程
知られていない。
しかし、その功績はとてつもなく大きい人物。一度読んでこの人物
のファンになった。
吉田松陰の高杉晋作の評価が素晴らしい
君の詩の才能は久坂に及ばない。理由は、君の詩には”志”がない。
久坂には強い”志”がある。君は、素晴らしい才能を持ちながら、
”志”を持たないために力を発揮出来ない。
”志”とは、人間に磨きをかけ、成長を加速させる。
”志”を持たないために力が発揮出来ていない。
現代の日本人には、このタイプがとても多いのではないだろうか。