はたらくカッパ
カエルに変身してリストラさせてしまった父に代わって就職すべく、面接に出かけたらひょんなことからカッパの海賊船で働くことになったアンヌ主演のロードムービー。
狂った世界と狂った登場人物たちを適当に受け流しながら、飄々といくアンヌはとってもキュート。
変な夢が見たい人は是非に!
空の巻き貝
『はたらくかっぱ』が大好きだったので購入しました。
狂った家の3歳児が空飛ぶ巻貝に巻き取られて、そのまま空の旅が始まります。
冒頭から独特の世界観と語り口にすっかり引き込まれて、楽しく読んでいたのですが、主人公たちが大人になってきたあたりから、ちょっときつかった。
すごくおもしろいんですが、性描写に若干引いてしまいました。
帯も町田さんが書かれていましたが、町田康が好きな男性の方はきっと好きだと思います。
町田康が好きな女性には『はたらくかっぱ』の方をおすすめします。
象魚
この本は、一般の「言葉」とかで表せるものではないと思います。
一言で言うなら「感性で読む漫画」という所でしょうか。
ストーリーとか起承転結とか求めてはいけません。まず、ガロ系の漫画という時点で普通の週刊少年漫画などに慣れ親しんだ人は読まないほうがいいと思います。短編集なのですが、それぞれが1つ1つ異なった味を持ちつつも混沌とした夢のようなものを共有しているのです。
ほとんどスクリーントーンを使わずに、工場や怪しげな町並みの描写をダイレクトに突き付けてくるのはすさまじい力だと思います。
そういったモノ達を感覚的に捉えられる人には案外楽しい漫画かもしれません。
昔の駄菓子屋や古びた町並みも出て来たりするので、それを懐かしんだりする楽しみ方もありますが決してそれメインで楽しめる漫画ではありません。
でも、きっと気に入る人はとことん気に入る漫画でしょう。
生きること
前作『転々』(2006年)に引き続きNYでレコーディングされた最新作。2008年4月25日リリース。現在のメンバー(巻上公一(vo)、三田超人(g)、坂出雅海(b)、清水一登(key)、佐藤正治(ds))となってから数年を経て、熟成度も増した繊細かつ重厚な、ある種侠気あふれるクールなサウンドに魅了される。即興とソングのミックス加減も絶妙。ここ数年のライブの定番になりつつある「デジタルなフランケン」や「入念」の緻密に改訂されていったアレンジの素晴らしさには唸る。このアルバムのテーマは何と環境問題!しかしそこはヒカシュー。世にはびこるロハス企業とタイアップした商業音楽の生ぬるさのかけらも感じさせない巻上のうたの世界には、30年間ロック、ポップス業界の中にあって常にアウトサイダーであり続ける彼らの生き様の軌跡が見える。怒りも呆れも疑問も赦しも諦観も全て内包しつつ揺るぎない意思を発露させて聴き手の心に迫ってくる「ベトベト」や、誰もが深刻に思いつつでもなかなか口にしない言葉を飄々とキャッチーに歌い上げた「オーロラ」などは、間違いなく今後のヒカシューの代表曲になっていくであろう傑作だ。そして、ジャケット及びブックレットを飾る逆柱いみりのイラストレーションがこのアルバムの世界観そのものを表出していて本当に素晴らしい。